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易経 繋辞下伝を読み解く 第五章 七

子曰。顔氏之子。其殆庶幾乎。有不善。未嘗不知。知之未嘗復行也。易曰。不遠復。无祇悔。元吉。
○子曰く、顔氏の子は、其れ殆(ほとん)ど庶(ち)幾(か)からんか。不善有れば、未(いま)だ嘗(かつ)て知らずんばあらず。之を知れば未だ嘗(かつ)て復(ま)た行わざるなり。易に曰く、「遠からずして復る。悔いに祗(いた)ること无(な)し。元(おお)いに吉なり」と。
 孔子は次のように言っている。
「顔回(孔子が後継者として期待した弟子だが、若くして孔子よりも先に亡くなってしまった)は、ほぼ完璧に「人の道(人間としてあるべき生き方)」を体得していたなぁ。善からぬことをすれば、必ずそれに気付いて改め、一度改めたことは、二度と繰り返さなかった。
 地雷復(・・・・・|一陽来復して漸次に陽が長じて行く時)の本文に「道を踏み外しても遠くまで行かず、速やかに過ちを覚って正しい道に復る(遠からずして復る)。それゆえ後悔することはなく、何をやっても宜しきを得る(悔に祗ること无し。元いに吉なり)」とあるのは、このことである。

天地絪縕、萬物化醇。男女構精。萬物化生。易曰。三人行則損一人。一人行則得其友。言致一也。
○天地絪(いん)縕(うん)して、万物化(か)醇(じゆん)す。男女、精(せい)を構(あわ)せて、万物化生す。易に曰く、「三人行けば、則(すなわ)ち一(いち)人(にん)を損(へ)らす。一人行けば、則ち其の友を得(う)」と。一(いつ)を致すを言うなり。
 天(陽)と地(陰)のエネルギー(氣)が相い交わり、相い反発して、あらゆる事象(萬物)が無から有へと形を成して行く。男女・雄雌(陽と陰)が結合して、萬物が誕生するのである。
 山澤損(|・・・||下を減らして上を増やす時)の本文に「『地天泰』下卦乾の上爻が、『地天泰』上卦坤の上爻に上り、坤の上爻が乾の上爻に下ってきた(三人行けば、則ち一人を損す)。それゆえ、六三と上九は和合一致するのである(一人行けば、則ち其の友を得)」とあるのは、陽と陰がぴたりと結合することを言っているのである。

子曰。君子安其身而後動。易其心而後語。定其交而後求。君子脩此三者。故全也。危以動。則民不與也。懼以語。則民不應也。无交而求。則民不與也。莫之與。則傷之者至矣。易曰。莫益之。或撃之。立心勿恆。凶。
○子曰く、君子は其の身を安(やす)くして而(しか)る後に動き、其の心を易(やす)らかにして而(しか)る後に語(かた)り、其の交わりを定めて而(しか)る後に求む。君子は此(こ)の三つの者を脩(おさ)む、故に全(まつた)きなり。
 危うくして以て動けば、則ち民、与(くみ)せざるなり。
 懼(おそ)れて以て語(かた)れば、則ち民、応ぜざるなり。
 交わり无(な)くして求むれば、則ち民、与えざるなり。
 之(これ)に与(くみ)する莫(な)ければ、則ち之を傷(そこな)う者至る。
 易に曰く、「之を益すこと莫(な)し。或いは之を撃つ。心を立つること恒(つね)勿(な)し、凶なり」と。
 孔子は次のように言っている。
「君子は自分の身を安全な所に置いてからから行動する。また、心をしっとりと安定させてから人に話しかける。さらに、人々とよく交わって、お互いのことをよく理解してから、親密な関係を築き上げる。君子は以上の三つをよく体得しているから、人間関係を全うできるのである」。
「自分の身が危険な状態で行動すれば、危ないので人々は付いて来ない」。
「自分の心が不安定の状態で話しかければ、人々は話を聞いてくれない」。
「よく交わらずに、親密な関係を築こうとしても、人々は心を開いてくれない」。
「相手が心を開いてくれなければ、お互い傷付くことになりかねない」。
 風雷益(||・・・|上を減らして下を益する時)の本文に「上九は益の卦極(貪欲な性質の上卦巽の最上)なので、人を益する道から外れ、己を益することを貪(むさぼ)る。誰も上九を益そうとしない(之を益すること莫し)。或いは上九を討伐しようとする(或は之を撃つ)。利益を求めてふらふらして、一向に心が安定しない(心を立つること恆勿し)。何をやっても失敗する(凶なり)」とあるのは、このことである。