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易経 繋辞下伝を読み解く 第七章 一

第七章

易之興也。其於中古乎。作易者其有憂患乎。
○易のるや、其れ中古に於(おい)てするか。易を作る者は、其れ憂患有るか。
 易の書が今に伝わる形となったのは、今から凡そ三千年前、支那において、殷王朝が亡んで周王朝が興った頃であろうか。聖賢が書き綴ったと伝わる易の書であるが、代々の聖人や賢人は、國や組織を治めるために、さまざまな苦労を重ね、言葉には表せない憂患に耐えて易に文章を書き加えたのであろう。

是故。履德之基也。謙德之柄也。復德之本也。恆德之固也。損德之脩也。益德之裕也。困德之辨也。井德之地也。巽德之制也。
○是の故に、履は德の基(もと)也。謙は德の柄(え)也。復は德の本(もと)也。恒(こう)は德の固(かた)き也。損は德の脩(おさ)まる也。益は德の裕(ゆた)かなる也。困は德の弁(べん)也。井は德の地也。巽は德の制(せい)也。
 天澤履の物語は、「上下関係を正す」という道徳の基礎について説いている。
 地山謙の物語は、「大地の下に気高い山が謙(へりくだ)っている」という器物の柄のような謙遜の德の大切さを説いているのである。
 地雷復の物語は、「一陽来復(君子は再生)」するという、道徳の本質を説いているのである。
 雷風恆の物語は、「常なき常の道(常久の道)」という、道徳の堅(けん)固(ご)さを説いているのである。
 山澤損の物語は、「己を減らして他を益する」という、道徳を脩(おさ)める方向性を説いているのである。
 風雷益の物語は、「上を減らして下を益する」という、道徳の豊かさを説いているのである。
 澤水困の物語は、「生死を超越して天命(志)を成し遂げる」ことができるか否かで、究極的に道徳の有無が弁別できることを説いているのである。
 水風井の物語は、「古井戸から清水を汲み上げて民を慰労し、相互扶助を奨励する」という、命の泉が湧き出る大地のような道徳の尊さを説いているのである。
 巽爲風の物語は、「丁寧且つ繰り返し命令を伝えてから実行する」という、道徳で人々を制する方法を説いているのである。

履和而至。謙尊而光。復小而辨於物。恆雜而不厭。損先難而後易。
○履は和して至る。謙は尊くして光あり。復は小にして物を弁ず。恒は雑にして厭わず。損は先には難く于して後(のち)には易(やす)し。
 天澤履の物語は、「剛健(乾)に和悦(兌)が履み随う時」である。「和悦の心で剛健に履み随えば虎に噛まれることはない」ことを説いているのである。
 地山謙の物語は、「富有になっても決して驕(おご)り高ぶらず人に謙(へりくだ)る時」である。「君子は人に謙る心を持ち続けて終りを全うする」ことを説いているのである。
 地雷復の物語は、「一陽来復して漸次に陽が長じて行く時」である。「小人に剝(はく)尽(じん)された君子の道が次第に伸び栄えていく」ことを説いているのである。
 雷風恆の物語は、「幾久しい夫婦の道の如く古今に亘り易(か)わらざる天地の定めを守る時」である。「天地の定めは常に幾久しく通る」ことを説いているのである。
 山澤損の物語は、「下(内)を減らして上(外)を増やす時」である。「粗末なお供え物でも真心があれば神様は受け入れてくれる」ことを説いているのである。