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易経 繋辞上伝を読み解く 第八章 五

【雷水解三爻】
子曰。作易者其知盗乎。易曰。負且乘。致寇至。負也者。小人之事也。乘也者。君子之器也。小人而乘君子之器。盗思奪之矣。上慢下暴。盗思伐之矣。慢藏誨盗。冶容誨淫。易曰。負且乘。致寇至。盗之招也。
〇子曰く、易を作る者は、其(そ)れ盗(とう)を知るか。易に曰く、負(お)うて且つ乘(の)る。寇(あだ)の至るを致すと。負ふとは、小人の事也。乘るとは君子の器也。小人にして君子の器に乘れば、盗、之を奪はんことを思ふ。上(かみ)には慢にして下(しも)には暴なれば、盗、之を伐たんとことを思ふ。藏(ぞう)を慢にするは盗を誨(おし)へ、容を冶(かざ)るは淫(いん)を誨(おし)ふ。易に曰く、負(お)うて且つ乘(の)る。寇(あだ)の至るを致すと。盗を之招く也。

 孔子がおっしゃった。「易を作られた古の聖人は、人間社会から盗(ぬす)人(つと)がいなくならない理由や盗(ぬす)人(つと)の事情についてよく理解しておられた。」
 「易の雷水解の六三に、負(お)うて且つ乘(の)る。寇(あだ)の至るを致す(六三は陰獣不中正の小人。本来人の荷物を背負うべきなのに、九四の大臣に取り入って要職を得て馬車に乗る。このようなことがまかり通れば、再び険阻艱難を招きかねない。人々は六三に服従せずに、盗(ぬす)人(つと)のように六三の地位を奪い取ろうとする)とあるからだ。」
 「負うとは身分が賤しい小人が荷物を背負うことである。乗るとは高貴な君子が馬車に乗ることである。それゆえ身分が賤しい小人が高貴な君子が乗るべき馬車に乗れば、周りの人々はまるで盗(ぬす)人(つと)のようにその地位を奪い取ろうと思うのである。」
 「臣民や部下が君主や上司に対して傲慢に振る舞い、君主や上司が臣民や部下に対して暴力で押さえつけようとすれば、盗人のような侵略者が現れて、自分がとって代わろうと思い、世の中が乱れる。富を貯える倉庫の戸締まりを疎かにするのは、盗人に盗みに入れと教えるようなものであり、婦人がお洒落をして過度に容貌を艶めかしく飾り立てるのは、わざわざ男の淫心を引き出すようなものである。」
 「雷水解の六三に、負(お)うて且つ乘(の)る。寇(あだ)の至るを致す(六三は陰獣不中正の小人。本来人の荷物を背負うべきなのに、九四の大臣に取り入って要職を得て馬車に乗る。このようなことがまかり通れば、再び険阻艱難を招きかねない。人々は六三に服従せず、盗人のように六三の地位を奪い取ろうとする)とは、自ら盗人を招いたのである。」