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易経 繋辞上伝を読み解く 第四章

2021年2月24日

第四章
易與天地準。故能彌綸天地之道。仰以觀於天文。俯以察於地理。是故知幽明之故。原始反終。故知死生之説。精氣爲物。遊魂爲變。是故知鬼神之情状。
易は天地と準(なぞら)う。故に能く天地の道を弥(び)綸(りん)す。仰(あお)いで以て天文を観、俯(ふ)して以て地理を察す。是の故に幽明の故(こと)を知る。始めを原(たず)ね終りに反(かえ)る。故に死生の説を知る。精気は物を為し、游魂は変を為す。是の故に鬼神の情状を知る。
○易経は天地宇宙で起こりうる事象を全て(陰陽相互作用の原理原則に当て嵌めて)網羅している。それゆえ、易経の原理原則は天地宇宙に普く行き渡り、ありとあらゆる事象を時間軸と空間軸で説明することができるのである。
 易経を学ぶ君子は、天を仰いで日月星辰の運行や風雨や雷電の状態を観察し、高台などから地上を見下ろして、山川草木丘陵などの地理を観察する。
 それゆえ、目に見えない形而上の事象や目に見える形而下の事象を、易経の原理原則を当て嵌めて解明することができる。
 また、あらゆる事象の始まりに遡ることにより、あらゆる事象の終わり方を予測することができる。だから、あらゆる事象の生老病死も予測することができるのだ。
 天地宇宙の根源的なエネルギー(元氣)は、陰陽交わって萬物を生み出し、萬物は例外なく生老病死のプロセスで変化し続ける。それゆえ、易を学ぶ君子は神仏を尊崇して、天地宇宙の理法を理解することができる。

與天地相似。故不違。知周乎萬物而道濟天下。故不過。旁行而不流。樂天知命。故不憂。安土敦乎仁。故能愛。
天地と相い似たり、故に違(たが)わず。知、万物に周(あまね)くして道天下を済(すく)う。故に過(あやま)たず。旁(あまね)く行きて流れず、天を楽しみ命を知る。故に憂えず。土に安んじ仁に敦(あつ)し。故に能く愛す。
○易経を学ぶ君子は易経を学ぶことにより、天地宇宙と一体となっているので、天の道、地の道に倣って人の道を全うすることができる。それゆえ、天地人の道を違うことはない。
 易経に精通している君子の見識(行動哲学)は、普く萬物に通じているので、何をやっても人の道を得て、万民を救済することができる。それゆえ、統治に過失はない。
 易経に精通している君子の胆識(人間力)は、人の道を全うすることができない時でも邪な道を歩むことは決してなく、人の道は天地の道に従うことだと確信して疑うことはない。だから、天命に安んじており、何事にも動揺することはない。
 易経に精通している君子の慈悲心は、何処に居ようが何をしていようが、天命に安んじており、誰に対しても慈悲心に満ち溢れている。それゆえ、誰をも愛しており、誰からも愛されているのである。

範圍天地之化而不過。曲成萬物而不遺。通乎晝夜之道而知。故神无方而易无體。
天地の化を範囲して過ぎず。万物を曲成して遺(のこ)さず。昼夜の道を通じて知る。故に神は方なくして易は体なし。
○易経は天地宇宙で起きうるあらゆる事象の変化を六十四卦の物語として表しており、その物語は天地宇宙の原理原則からはみ出ることはない。
 萬物は生老病死のプロセスを経て最後は天地宇宙の根源的なエネルギー(元氣)に帰って行く。陰陽消長変化して四時は循環し昼夜は入れ替わる。
 それゆえ、神仏の働きは融通無碍であり、易経の教えは変幻自在である。