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易経 繋辞下伝を読み解く 第五章 二

尺蠖之屈。以求信也。龍蛇之蟄。以存身也。精義入神。以致用也。利用安身。以崇德也。過此以往。未之或知也。窮神知化。德之盛也。
○尺(せき)蠖(かく)の屈するは、以て信(の)ぶるを求むるなり。
 龍(りゆう)蛇(だ)の蟄(ちつ)するは、以て身を存するなり。
 義を精(くわ)しくして神(しん)に入(い)るは、以て用を致すなり。
 用を利し身を安んずるは、以て徳を崇(たか)くするなり。
 此れを過ぎて以て往くは、未だ之を知る或(あ)らざるなり。
 神(しん)を窮めて化を知るは、徳の盛んなるなり。
 独特の歩き方をする尺(しやく)取り虫が、長い身を屈するのは、次に身を伸ばすためである。六十四卦中最初の卦「乾爲天」に登場する伝説の生き物「龍」が地上に出てくるまでは、じ~っと身を潜めており、また、実在する生き物「蛇」が厳寒の冬の間は、じ~っと土の中に身を潜めているのは、共に地上に出るべきタイミングを窺って、その身を保っているのである。
 これを人の道に当て嵌めれば、大義を追求して神仏の領域に到達することができる人は、大義を貫いて世のため人のために生き抜いた人である。
 大義を貫いて世のため人のために生き抜いた人は、どのような困難にも適切に対処することができる。結果的に自分の身は安泰となり、心は安らかになる。大義を貫いて世のため人のために生き抜いた人は、体得した明德をより一層磨いて行こうと決意する。
 ここから先に記す境地は、人知の及ぶところではない。
 天地萬物生成の源泉、すなわち生命の根源を実(じつ)参(さん)・実(じつ)究(きゆう)して、化成のはたらき(萬法)を体現・体得することは、明德の行き着くところ(大悟)である。
 ここにおいて、「澤山咸・|||・・(相感応する時)」の九四の爻辞「九四は正応初六と心(こころ)彷徨(さまよ)いながら往来する(初六は感じるところが弱いのでなかなか動かないので手こずる)。柔順な初六は九四に随って動き出すが、不正同志なので、広く民と感応することはできない。」に対する、孔子の次の言葉が理解できるのである。
「天下について何を思い煩い悩むのであろうか。誰もが天に導かれてそれぞれの道を歩んでいるのだ。歩んでいる道は人によって異なるが、目的とする所は一致する。誰もが自分が歩んでいる道について思い悩むものなのだ。どうして天下について思い煩い悩む必要があろうか」。