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易経 繋辞上伝を読み解く 第十一章 二

是以明于天之道。而察于民之故。是興神物。以前民用。聖人以此斎戒。以神明其徳夫。
○是(ここ)を以て、天の道に明らかにして、民の故(こと)に察(あきら)かなり。是に神(しん)物(ぶつ)を興(おこし)して、以て民の用に前(さき)だつ。聖人は此れを以て斎(さい)戒(かい)して、以て其(その)徳(とく)を神(しん)明(めい)にするかな。
 以上のことから、聖人は神仏のご加護を得て天の道に明らかなので、易の原理原則に則って人民の社会の有り様を観察し、その事情に精通しているので、神聖な筮竹を用いて、未来を予知する方法を創り出し、来たるべき時に適切に対処する方法を吉凶禍福で示し、萬民を正しい方向に導くのである。
 聖人が易を用いる時には神仏に仕えるように心身を清めて戒律を定め、神仏の領域にまで明徳を高めるて、神聖な筮竹を用いて吉凶禍福を示すのである。

是故。闔戸謂之坤。闢戸謂之乾。一闔一闢謂之變。往來不窮謂之通。見乃謂之象。形乃謂之器。制而用之謂之法。利用出入。民咸用之。謂之神。
○是(こ)の故に、戸を闔(と)づる之を坤と謂ふ。戸を闢(ひら)く之を乾と謂ふ。一たびは闔じ一たびは闢く之を變と謂ふ。往來して窮まらざる之を通と謂ふ。見(あら)はるれば乃ち之を象と謂ふ。形あれば乃ち之を器と謂ふ。制して之を用ふる之を法と謂ふ。用を利し出入し、民咸(みな)之を用ふる、之を神(しん)と謂ふ。
 易の変化の原理は陰陽の相互作用である。例えば戸が閉まっているように消極的で静的な状態を坤(陰)といい、戸が開いているように積極的で動的な状態を乾(陽)という。戸が閉じたり開いたりすることを變(陰陽消長の変化)という。閉じたり開いたりを繰りかえし往来して行き詰まらないさまを通(窮変通久)という。陰陽消長して目に見える事象や現象を象という。象から創られる形あるものと器という。以上の変通象器の原理原則に従って、占筮して未来を予知し、適切に対処する方法を吉凶禍福で示すことを法という。易の法を用いて未来を予知し、来たるべき時に適切に対処すれば、人の道を全うして、多くの人民は易の恩恵を受ける。すなわち、神仏のご加護を得ることができるのである。