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天命に生きる 実語教 童子教 の教え(一部掲載)

第二章 天命に生きる実語教の教え

 山高きが故(ゆえ)に貴(たつと)からず。樹(き)有(あ)るを以(もつ)て貴しとす。
 人(ひと)肥(こえ)たるが故に貴からず。智(ち)有(あ)るを以て貴しとす。

 山は高い(見栄えがよい・姿形がよい・頭がよい・力がある・お金がある・家柄がよい等々)からといって価値があるわけではない(貴からず)。山に樹木が生えている(性格がよい・徳がある・世のため人のために尽くしている等)からこそ(人間として)価値があるのだ。人は富・地位・名誉を得ている(肥えたる)からといって(人間として)尊敬されるわけではない。①知識を②見識や③胆識に昇華して人格を陶冶している(智有る)人格者だから尊敬されるのである。
 【①知識:頭で理解 ②見識:揺るがない信念 ③胆識:リーダーシップ】


嘗(かつ)ての日本人は「天命に生きる」人生を歩んでいた。「実語教」や「童子教」など、古くから伝わる日本の教えを學んだからである。今の日本人は古くから伝わる日本の教えを學ばなくなってしまった。そろそろ、日本の教えを取り戻さないと、日本が日本でなくなってしまう。そんな思いで本書を書いた。

実語教では「天命」のことを「天地」といい、それは「父母」と「孝」、あるいは「師君」と「仕」の相互作用で成り立つ。そのことを「父母は天地の如く、師君は日月の如し。(中略)父母には朝夕に孝せよ。師君には昼夜に仕えよ」と書いてある。

童子教では「天命」のことを「仏」といい、それは「仏道を求む」と「仏道を成ず」の相互作用で成り立つ。そのことを「(前略)花を折って仏に供する輩(ともがら)は 速やかに蓮(れん)台(だい)の趺(はなぶさ)を結ぶ。上は須(すべから)く仏道を求むべし 中(なか)ばは四(し)恩(おん)を報ずべし。下(しも)は徧(あまね)く六(ろく)道(どう)に及ぶ 共に仏道を成(じよう)ずべし」と書いてある。

実語教と童子教が普及したのは、江戸時代に寺子屋のテキストとして用いられたからである。実語教は平安時代の終わり頃に成立したと言われ、明治時代になっても読まれていたという。何と千年近く子供たちのテキストとして読まれ続けてきたのだ。童子教は鎌倉時代の終わり頃に成立したと言われている。いずれにしても、長い期間にわたって子供たちは「実語教」と「童子教」を読んで人格を形成した。

今の「自分のために生きる」日本人に、是非、「実語教」と「童子教」を読んでいただき、「天命を生きる」人生を歩んでほしいと思う。

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