毎日連載! 易経を中心に日本の心に関する情報を毎日アップしています。

易経(周易)を読み解く 六八(地澤臨 四五上)

六四 ‥‥‥ ‥―― 之卦 五四雷澤歸妹
六四。至臨。无咎。
○六四。至(し)臨(りん)す。咎无し。
 柔順な側近六四は才能と人德が乏しいから、自分の力だけでは大臣(トップの側近)の職責を全うできない。そこで、至(し)誠(せい)を尽くして賢人初九を招(しよう)聘(へい)する。賢人初九は悦(えつ)服(ぷく)して国政を補佐する。人から咎(とが)められるような過失は犯さない。
象曰、至臨。无咎、位當也。
○象に曰く、至臨す。咎无しとは、位當れば也。
 小象伝は次のように言っている。賢臣初九は六四の側近(大臣)に悦(えつ)服(ぷく)して国政を補佐するので、人から咎められるような過失は犯さない。
 柔順な大臣六四が六五の天子(トップ)の側近としての職責を全うするからである。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)下位の賢者と協力し合って事を成し遂げる時である。
至臨とは、同志が厚く丁寧に協力することを求めること。自分は上位に在って下位の者と協力し合う。下位の者に対しては、常に啓蒙することを心がけ、その心を自分の方に向けておき、いざとなったら進んで協力してくれるようにしておくことが肝要である。
○お互いに臨み合えば、至誠の気持ちで協力し合う。咎められない。
○上の者が下の者に臨む時である。
○利益を集めることに関しては、これ以上の幸せはない時。
○之卦の雷沢帰妹に変ずれば、長男が少女を娶る時となる。
○君子が天命によって事を為す時である。

六五 ‥‥‥ ‥―― 之卦 六十水澤節
六五、知臨。大君之宜。吉。
○六五、知(ち)臨(りん)す。大(たい)君(くん)の宜しきなり。吉。
 六五は柔順で中庸の德を具えた天子(トップ)である。己を虚(むな)しくして九二の賢臣を信任し、広く衆(しゆう)智(ち)を集めて国政に中(あた)る。偉大な君主(トップ)は叡(えい)智(ち)を用いて陽剛の君子(九二)を帰服させ、天下泰平の宜しきを得る。何事も順調に進む。
象曰、大君之宜、行中之謂也。
○象に曰く、大(たい)君(くん)の宜しきとは、中を行(おこな)うの謂(いい)也(なり)。
 小象伝は次のように言っている。偉大な君主(トップ)六五が天下泰平の宜しきを得る。柔順中庸の天子が剛健中庸の賢臣を用いて、臨の時に適切に対処するからである。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)思慮深く見識がある。部下(下に居る者)の人物と才能を熟知して、抜擢任用し、共に大事業を成し遂げる時である。
物事の由って立つ所以を会得しており、行動すべき時機を弁えている。その言行は適切で、為す事は必ず成功する。
○柔順な君主が中庸の徳を具えて九二に応じている。自らは動かないが、部下を抜擢任用することで吉運を招き寄せる。
○社会的地位の高い人(貴人)からお願いされることがある。
○進み続けて、万事順調に育っていく時である。
○自分より下位に居る人物に臨むべき時(用いる時)。神仏をお祀りして(祭祀して)、ご加護を賜ることを希求するべきである。

上六 ‥‥‥ ‥―― 之卦 四一山澤損
上六。敦臨。吉无咎。
○上六。敦(とん)臨(りん)す。吉。咎无し。
 上六は柔順正位で臨(上卦坤)の極点に居る。六五の天子(トップ)の德風に包まれて下々に篤(とく)実(じつ)に臨(のぞ)み、民(たみ)を思いやること窮(きわ)まりなく、民を包容して安んずること限りない。それゆえ、宜しくして、咎められるようなことは何もない。
象曰、敦臨之吉、志在内也。
○象に曰く、敦(とん)臨(りん)の吉は、志(こころざし)内(うち)に在(あ)る也(なり)。
 小象伝は次のように言っている。上六が宜しくして、咎められるようなことは何もないのは、六五の君主(トップ)の補佐役として国政の安定を強く願っているからである。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)至誠の心で事業を成し遂げる。志半ばで終ったとしても、必ずその事業を受け継ぐ者があって、遂には成就する。
○忠臣が事に臨み、君主のために力を尽くす。身命をも惜しまない。
○貴い人が卑しい家に帰ってくる(臨む)時。
○人々を救うために、資産や財産を費やすべき時。
○老人が西方にある浄土に行きたいと願う時。