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時の物語 あとがき

あとがき

 六十四の時の物語、楽しんで頂けただろうか。「難解だと敬遠されがちな易経をどうすれば分かり易く伝えることができるか」。今のわたしのテーマである。易経を学び始めてそろそろ二十年になる。わたし自身、大枠を理解するのに三年、掘り下げて理解するのに三年くらいを要した。その結果、「こんなに面白い学問はない。これが一般にほとんど知られていないのは勿体ない。一人でも多くの人に易経の面白さを伝えたい」と強く感じた。以来、カルチャー教室、自主講座、企業研修など様々な機会を通して易経の話をしてきた。

 だが、どんなに分かり易く伝えたつもりでも、ほとんどの人が「難しい」と言う。色々工夫してみたが、やはり「難しい」と言う。どんな風に難しいかと聞くと、「文章が抽象的でよく分からない」「基本知識が理解できない」「切り口が多様で理解の仕方が分からない」と言う。これらに応えるためには、易経の基礎知識が全くなくても理解できる伝え方をすることが求められる。その結果、「そうだ易経を短編小説のように物語として描こう」と思った。その結果が本書である。本書が一人でも多くの人を易経へ誘うことを期待したい。

 本格的に易経を学びたい方は、入門書として拙著「これならわかる かんたん易経(Amazonから電子書籍、ペーパーバックとして出版)」を読んでほしい。

          令和六年三月吉日 白倉周易研究所 所長 白倉信司