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時の物語 周易六十四卦 校正 47

六十四.完成から未完成に移行した時

 「六十三.全てが完成した時」は何時までも続かない。天下泰平が続いた江戸時代も二百六十五年で終わり明治時代に移行した。完成した時はやがて未完成の時に移行し、未完成の時は完成した時に向かって行く。すなわち、「六十四.完成から未完成に移行した時」は「一.がんばる時」に戻って、「二.素直に順う時」「三.新しいものを産み出す時」と循環して、やがて「六十三.全てが完成した時」に至る。そして六十四、一、二、三と循環を繰り返す。六十四類型の時の物語は何時までも循環を続けて止まないのである。

 「完成から未完成に移行した時」の主人公は「全てが完成した時」が終了してから三百年後の日本で暮らしている「あなた(わたし)」である。

 江戸時代を超える泰平の世を目指した○○党による自主独立政権は何と江戸時代を超える三百年以上に渡った。今、時代は西暦二千三百三十八年、皇国日本の暦である皇紀二千九百九十八年である。皇国日本は二年後には皇紀三千年を迎える。○○党政権の下、三十年前から「皇紀三千年記念事業実行委員会」が立ち上がり、有識者と政治家及び国民代表並びに皇族の方々が委員として盛大な「記念事業」を開催しようと万全な準備が行われていた。いよいよ二年後に迫った今年は世界各国から王族や首脳を招いて皇居でおこなわれる「皇国日本肇(ちよう)国(こく)三千年祝賀会」の内容を決定する大詰めの段階に入った。わが国の象徴として日本のみならず世界の大調和を毎日祈っておられる天皇陛下を中心に総理大臣・内閣・政治家・経済界・教育界・神仏祭祀者が一丸となって「皇国日本肇(ちよう)国(こく)三千年祝賀会」を成功させようとそれぞれが各界で活発に動いている。泰平の世も三百年続くと国家体制は盤石であっても人事を始めとする体制内の統治機構の乱れや權力闘争等が目立ってくる。よって、国家統治の仕組み・組織・機関の見直しを行った上で適材適所の人事配置を行う必要がある。
 泰平で安定した世の中が続くと、変化を求める若い人や血気盛んな俗物の中には主要な政治家や内閣、時には総理大臣に対して、政治の安定ではなく変化を求めて提言する人やデモを企画実行して具体的に働きかける人が出てくる。彼等の主張は極端で偏った内容が多く、大概は取り上げられないので、彼等は挫折し鬱憤が蓄積していた。彼等なりに世のため人のためになると思って主張しているのだが、国民からは支持されていなかった。
 一部にそのような世相が見られる中で「皇国日本肇(ちよう)国(こく)三千年祝賀会」が執り行われた。世界中から王族や首脳が来日し史上最大の来賓客を迎える中で、わが国が目指してきた世界の大調和が体現されたような盛大な祝賀会となった。三日間続いた祝賀会を終え、再び平穏な泰平の世が戻ってきた。皇紀三千年を迎えた今が、有史以来最も幸福な時代だと多くの日本人が実感した。国民・各界と政府・皇室が一体となり、国民の幸福感は絶頂を迎えようとしていた。明治維新以来激動の時代を経て、一時は独立国を諦めて植民地に陥りかけていた日本が、自主独立路線に転換してから三百年かけて築き上げた泰平の世をいつまで保っていけるかが今後の大きな課題となった。気掛かりなのは変化を求める若い人や血気盛んな俗物の中に極端で偏った主張をする人々が一定数おり鬱憤を蓄積していることだ。鬱憤を晴らすために暴動を起こしたりすれば、泰平の世が崩れる端緒になるかもしれない。杞憂なら良いが「蟻の一穴天下の破れ」という諺(ことわざ)があるように事前に備えておくことが必要だ。以下省略。