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時の物語(易経短編小説集・近日中に出版予定)1

はじめに

 昨年(令和四年)から今年(令和五年)にかけて易経の解説書を何冊も出版した。初心者から上級者まで、易経を学んでいる人を対象にした易経の基礎知識と六十四卦の解説は一通り書き上げたことになる。
 今回出版する書籍は易経を知らない人、易経に興味がない人が読んでも「おもしろい」と感じてもらえる「易経の物語(時の物語)」である。

大国主中国に渡る

 凡そ六千年前、縄文時代と呼ばれる時代に「やまとことば」が成立した。今わたしたちが使っている日本語の基礎になる言語が「やまとことば」である。「やまとことば」は、「あいうえお、かきくけこ、さしすせそ…」という音で出来ている。一音一音に意味があり、その意味は陰陽の概念で組み立てられている。
 一説には、「あいうえお」の
 「あ」は純粋な陽であり「天」を意味している。
 「い」は陽から陰に移行する段階の始めであり「風」を意味しており、
 「う」は陽から陰に移行する第二段階であり「火」を意味している。
 「え」は陰に移行した段階であり「水」を意味しており、
 「お」は純粋な陰であり「地」を意味している。と伝えられている。
 一説には、「うあわ」の
 「う」は易経の「太極」、古事記の「、天(あま)之(の)御(み)中(なか)主(ぬし)の神」を表しており、
 「あ」は易経の「陽」、古事記の「高(たか)御(み)産(む)巣(す)日(ひ)の神」を表しており、
 「わ」は易経の「陰」、古事記の「神(かみ)産(む)巣(す)日(ひ)の神」を表している。と伝えたれている。
 易経が創出されたのは古く見て凡そ五千年前なので、世界で初めて陰陽の概念を用いたのは「やまとことば」なのである。すなわち、陰陽の概念が発祥したのは易経を創出した中国ではなく、「やまとことば」を創出した日本なのである。
 日本の縄文時代は神々と人間が共存していた。当初、大和周辺の地域は天照大御神が治めており、出雲周辺の地域は元来大国主の神が治めていたが、ある時、大国主の神は出雲の統治権を天照大御神の子孫に譲って、「出雲大社」にお祀りされる(出雲地域の統治者の役割を引退する)ことになった。以下省略。