六十四火水未済 ☲ ☵ 離上坎下
互卦・綜卦・錯卦 六三水火既濟☵☲
火水未済☲☵は水火既済☵☲を百八十度ひっくり返した形(水火既済の綜卦)なので、陰爻陽爻全て不正(奇数に在るべき陽爻が偶数に、偶数に在るべき陰爻が奇数にある)である。水火既済は適材適所の完璧な組織体制であるのに対して、火水未済は不適材不適所のガタガタに崩れた組織体制である。だが、応比の関係は全て満たしているので、全体が一つにまとまって事業を成し遂げる組織力を具えている。
火水未済は水火既済の完成の時から未完成の時へと移行した。完成の時は何時までも続かない。何時かは崩れて未完成の時へと移行する。未完成の時は完成の時へ向かって行こうとする。六十四卦最後(六十四番目)の火水未済の時は完成の時へ向かって行くべく次の時へと移行する。すなわち六十四卦最初(一番目)の一乾為天☰☰の時に移行して、物事を成し遂げようとする。
物事を成し遂げるためには陽の発したエネルギーを受け容れる陰の働きが必要となるので、乾為天☰☰の時は二坤為地☷☷の時に移行する。乾為天☰☰と坤為地☷☷の働きによって物事は成就して次の段階(三水雷屯☵☳)に移行する。産まれそうで産まれない産みの苦しみを体験するのである。やがて、新しい事業が誕生する。事業は誕生しても、まだヨチヨチ歩きでものにならない。そこで、その蒙昧さを啓発すべく四山水蒙☶☵の時に移行する。やがて蒙昧さは啓発されて事業は功を上げる。そこで、功を得るべく、ゆったりと飲食して時が至るのを待つ。すなわち、五水天需☵☰の時に移行する。時が至って功を得ると組織の内部抗争がはじまる。すなわち、六天水訟☰☵の時に移行するのである。内部抗争は調停して和合しなければならないので、やがて抗争は治まり組織は安定する。組織は安定したけれども、手(て)強(ごわ)い競争相手が現れる。組織が生き残るためには、競争相手と戦って勝たなければならない。すなわち、天水訟の時は七地水師☷☵の時に移行する。組織の中からもっとも優秀な人材をプロジェクトリーダーに抜擢するので見事に戦いに勝つ。戦いに勝ったので組織は生き残り、トップを中心に一つにまとまる。すなわち、地水師の時から八水地比☵☷の時に移行する。以上、六十四卦最後(六十四番目)の火水未済が、どのように循環して完成へ向かって行くのか。易経の目次の順序に沿って説明した。
以上が火水未済の概要である。
ここから先は原文(漢文と書き下し文)を示した上で、初心者でも理解できるように意訳していく。(太字を読めば理解できる。)以下省略。