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はじめての易経 45.沢地萃

四十五澤(たく)地(ち)萃(すい) ☱ ☷ 兌上坤下

 互卦 五三風山漸 ☴☶
 綜卦 四六地風升 ☷☴
 錯卦 二六山天大畜☶☰

 澤地萃☱☷は五爻と四爻が陽爻でそれ以外が陰爻のツートップ体制の形をしている。五爻がトップでワントップ体制の水地比☵☷と四爻がトップでワントップ体制の雷地豫☳☷を合体させた形が澤地萃である。水地比も雷地豫も豪腕のリーダーが全体を制御するのだが、澤地萃は豪腕のリーダーが二人居て全体を制御する。二人が組織をグイグイ率いる大盛運の時である。
 卦象を見ると、上卦兌の澤の水が流れており、また下卦坤の大地に浸透して肥沃な土地である。作物が豊富に採れるので沢山の人が集まってくる。上卦兌の経営陣は喜びと恵みの精神(兌の性質)で組織を率いるから、下卦坤の従業員は上卦兌の経営陣に柔順に従い組織は順調に伸びて行く。
 ツートップの五爻は社長、四爻は側近。それぞれ経営者としての能力を具えており従業員から慕われている。ツートップ体制は方向が一致しないと組織をバラバラにしかねない心配もある。
 野球選手に例えるとツートップはスター選手である。古い話で恐縮だが高度経済成長期の読売ジャイアンツ(巨人)の長島選手と王選手の組み合わせがツートップ体制である。やがて長島選手も王選手も監督になったが、澤地萃のツートップ体制とは、長島選手が巨人軍の監督を務め、王選手がヘッドコーチを務めているような体制である。
 チーム(組織)が監督派とヘッドコーチ派に分かれて、一つにまとまりにくいのが澤地萃のツートップ体制である。監督の統率力に問題があるわけでなく、ヘッドコーチのサポート力に問題があるわけでもない。監督もヘッドコーチもかつての大スターで、今もカリスマとしての魅力を具えている。監督にもヘッドコーチにも責任はないのに、チームが一つにまとまらないのである。
 解決法は一つ。監督が圧倒的な統率力を身に付けることである。ヘッドコーチがいかに優れていても、統率力に関しては監督には遠く及ばないという関係になればチームは一つにまとまる。
 澤地萃のトップは指導者としての大力量を身に付けることが求められる。これもまた古い話で恐縮だが、長島選手や王選手が現役時代に長年巨人軍をトップの座に導き続けた川上監督のような大力量が求められるのである。

 以上が澤地萃の概要である。
 ここから先は原文(漢文と書き下し文)を示した上で、初心者でも理解できるように意訳していく。(太字を読めば理解できる。)以下省略。