余談だが筆者も易経を学び始めてから、毎年冬至の日は早起きして翌年の運勢を占っている。不思議なことに冬至の日に立てた占い(冬至占)はよく中るのである。いずれにしても、地雷復はあらゆる物事の始めであり、これまで長く続いてきた衰運がようやく盛運に転ずるおめでたい時である。
しかし、衰運から盛運に転じたからといって、物事が急に好転するわけではない。陽が復って来たとはいえ、まだ一陽であり、しかも一番下にいる。力は弱く社会的な影響力もない。だから、地雷復の時はせっかく復ってきた一陽を大事に養い育てることが求められる。長い冬が終わって、ようやく春が来た。だが、まだまだ寒い日が続く。二十四節気で「冬至(夏至から弱まってきた太陽の力が最も弱まると同時に再び強くなっていく時)」の次に「小寒(太陽の力は冬至を経て再び強くなっていくが、気候は更に厳しくなるから寒の入りと言う)」と続き、さらに二十四節気の最後である「大寒(一年で最も寒い時季。小寒と大寒を合わせて寒の内と言う)」と続くのである。しかし「大寒」の次は二十四節気の始まりである「立春(暦の上では春となり、旧暦では一年の始まり)」となることから、盛運は徐々に目に見えてくる。
以上が地雷復の概要である。
ここから先は原文(漢文と書き下し文)を示した上で、初心者でも理解できるように意訳していく。
復、亨。出入无疾。朋來无咎。反復其道、七日來復。利有攸往。
○復は亨(とお)る。出(しゆつ)入(にゆう)、疾(やまい)无(な)く。朋(とも)來(きた)りて咎(とが)无(な)し。其(そ)の道に反(はん)復(ぷく)し、七日にして來(きた)り復(かえ)る。往(ゆ)く攸(ところ)有るに利(よろ)し。
復は一(いち)陽(よう)来(らい)復(ふく)して(山地剝の一番上に在った一陽が剝落して、陰爻ばかりの坤為地となった後に、一番下に一陽が復って来て地雷復となり)漸次に陽が長じて行く時である。小人(陰)に剝(はく)尽(じん)された君子(陽)の道が次第に伸び栄えていく(陽が長じていく)。
陽氣が内に入って長ずるのを害するものはなく、陽氣が集まり次第に伸び栄えるので、過失を犯すこともない。陽氣が天地の道を反復往来(陰陽消長)し、剝尽(陽が消え始めて)から七変化(天風姤、天山遯、天地否、風地観、山地剝、坤為地、地雷復)して、また来復(陽が復って来て長じ始める)する。前に進んで行って事を為すがよい。以下省略。