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時の物語 周易六十四卦 校正 14

二十九.人生で最も辛い時

 貴方にとってこれまで生きてきた中で最も辛い時はどんな時だっただろうか。人生で起こりえる物語の中で最も辛い時。それは貴方にとって「人生で最も辛い時」である。時の種類は六十四通りあるが、最も辛い時が「人生で最も辛い時」である。この時を乗り越える方法は只一つ。「真心で物事に真正面から立ち向かう」ことである。小手先で対応しても乗り越えられない。真剣になる。本氣になる。覚悟することだ。大げさに言えば「死を覚悟する」ことだ。「死んでもよい」と覚悟して取り組めば、どんなことでも乗り越えられる。孟子の「至誠にして動かざる者、未だ之有らざるなり。/真心で物事に真正面から立ち向かえば、どんな人でも心を動かされるものだ。」である。

 「人生で最も辛い時」の主人公は人生の目的を「自己実現」から「社会に貢献する」ことに切り替えた途端、次から次に苦境に立たされることになった「あなた(わたし)」である。

 わたしは小さな頃周りからチヤホヤされ「蝶よ花よ」と育ったので、あらゆる事を自分中心に考える「自己中心(ジコチュー)」人間だった。そんなわたしなので自分の好きな事をして生計を立て周りからも評価される「自己実現」の生き方が正しい生き方だと信じて疑わなかった。社会に出てサラリーマンになった。サラリーマンは自分の好きな事を出来ない。だからサラリーマンを辞めて自分の好きな事をして生計を立てることにした。自分の好きな事でしかも社会にも役立つ仕事なのでわたしは自分の生き方に誇りを感じ胸を張って生きていた。ある時、人間学講座を受講すると、人間は「自己実現」の生き方をしてはならない。「社会に貢献する」ことを「志」とし自分の我を捨て「世のため人のために」生きるべきだと言った。その講師は立派な人で、自分の我を捨て「世のため人のために」生きていた。わたしは、「自己実現」を理想の生き方としてきた自分の考えに疑問を持った。以下省略。

三十.歴史に学ぶ時

 易経の六十四卦(六十四通りの物語)は上(じよう)経(けい)(三十通りの大きな物語)と下(か)経(けい)(三十四通りの小さな物語)に分かれている。「歴史に学ぶ時」は上経最後の物語である。人や組織には歴史がある。歴史は人や組織が試行錯誤を繰り返して辿り着いた営みである。その営みに学ぶことは多い。今していることが成功するかしないか考える時に歴史に学ぶことは極めて有効だ。貴方の人生を振り返って学ぶこともあれば、貴方が属する組織の歴史を振り返って学ぶこともある。貴方が属する国家の歴史を振り返って学ぶこともある。
 貴方や貴方が属する組織が何かに迷っている時、貴方や貴方の属する組織の歴史に学べば、そこに答えが書いてある。それが「歴史に学ぶ時」である。

 「歴史に学ぶ時」の主人公は世界で一番古い国家でありながら亡国の危機にある日本を取り戻すために政治活動をしている「あなた(わたし)」である。

 わたしは日本のことが大好きだ。二千六百八十年以上前に家族のような国家(八紘一宇)を創ろうとした神武天皇により始まった国・日本、こんな素晴らしい国は世界中見渡しても存在しない。それなのに、日本を卑下したり見下したりする日本人が少なくない。何と悲しいことではないか。そんな思いをわたしは常日頃から抱いている。日本の歴史は神武天皇の祖先である伊弉諾尊と伊弉冉尊による国生みと神生みから始まる。国生みは日本列島の誕生、神生みは自然環境の生成のことである。伊弉諾尊は天照大神をお生みになり、天照大神は古来より今に至るまで日本の国を見守ってくださる永遠の神さまである。そのお孫である瓊瓊杵尊さまが天空から日本の国にお降りになり、三代を経て神武天皇が奈良の地において初代天皇に就任された。今(令和六年)から二千六百八十四年前のことである。八紘一宇とは「八(あめの)紘(した)(天下)を掩(おお)って(まとめて)一つの宇(いえ)(家族)としよう」という意味だ。以下省略。