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四季と易経 その七十八

熊蟄穴(くまあなにこもる)(七十二候の六十二候・大雪(たいせつ)の次候)

【新暦十二月十二日ころから十六日ころまで】
 意味は「熊が穴に入って冬ごもりする(絵で楽しむ)」である。
 「絵で楽しむ」には次のように書いてある。
 熊が冬眠のために穴に入るころ。冬ごもりの間は何も食べないため、秋には大量に木の実や果実、動物の肉などを摂取します。

 「熊蟄穴(くまあなにこもる)」は、易経・陰陽消長卦の「坤為地」六五に中る。次に「坤為地」六五の文章(爻辞と小象伝)を示す。
 「坤為地」六五の言葉は【新暦十二月十二日ころから十六日ころまで】に当て嵌まる。

坤為地六五(易経・陰陽消長卦)

《爻辞》
六五、黄裳、元吉。
○六(りく)五(ご)、黄(こう)裳(しよう)、元(げん)吉(きつ)なり。
 六(りく)五(ご)は坤の天子(雇われ社長)。乾の天子(オーナー)の代理人。中庸の德を具えた坤の天子は乾の天子に全面的に支持されている。それゆえ、大いに宜しきを得る。

《小象伝》
象曰、黄裳元吉、文在中也。
○象に曰く、黄(こう)裳(しよう)元(げん)吉(きつ)とは、文(ぶん)中(ちゆう)に在(あ)れば也。
 小象伝は次のように言っている。中庸の德を具えた坤の天子(六五)は乾の天子の代理人として乾の天子から全面的に支持されている。それゆえ、大いに宜しきを得る。六五が多彩な才德を包み隠して、乾の天子の代理人として時に中るからである。

 「坤為地」六五の之卦は「水地比」である。次に「水地比」の全体像を表す言葉(卦辞・彖辞、彖伝、大象伝)と「水地比」の九五の言葉(爻辞、小象伝)を示す。これらの言葉は「坤為地」の九五と同じく【新暦十二月十二日ころから十六日ころまで】に当て嵌まる。

水地比(坤為地六五の之卦)

《卦辞・彖辞》
比、吉。原筮、元永貞、无咎。不寧方來。後夫凶。
○比(ひ)は吉。原(げん)筮(ぜい)して、元(げん)永(えい)貞(てい)なれば、咎无し。寧(やす)んぜずして方(あまね)く來(きた)る。後(おく)るる夫(ふ)は凶。
 比は親しみ助け合い和合する時だから、みんなが共存共栄できる。親しむべき相手を推(お)し量(はか)ってよく見極め、察知できない事は、占(せん)筮(ぜい)するように人の意見をよく聞くべきである。元(仁)永(恒)貞(正)の德を具えていれば過ちは犯さない。
 不安を抱く人々が親しむべき相手のところに集まって来て和合する。ぐずぐず遅れて孤立している(和合できない)人は不幸な結果となる。

《彖伝》
彖曰、比吉也。比輔也。下順從也。原筮、元永貞、无咎、以剛中也。不寧方來、上下應也。後夫凶、其道窮也。
○彖に曰く、比は吉也。比は輔(たす)くる也。下(した)順(じゆう)從(じゆん)する也。原筮して元(げん)永(えい)貞(てい)なれば、咎无しとは、剛中なるを以て也。寧(やす)んぜずして方(あまね)く來(きた)るとは、上下應(おう)ずる也。後(おく)るる夫(ふ)は凶とは、其の道窮(きわ)まれば也。
 彖伝は次のように言っている。比はみんな親しみ助け合い和合するから共存共栄する。比は天子(トップ)と臣(しん)民(みん)(部下や民衆)が助け合う時である。九五の天子(トップ)に臣民(部下や民衆)が素直に従い親しみ助け合い和合する。
 親しむべき相手を推(お)し量(はか)ってよく見極め、察知できない事は、占(せん)筮(ぜい)するようによく人の意見を聞き、元(仁)永(恒)貞(正)の德を備えていれば過ちは犯さない。九五の天子(トップ)が剛中備えて私欲なく(元)、健にして息(やす)まず(永)、正固にして偏らない(貞)からである。
 不安を抱く人々が親しむべき相手のところに集まって来て和合する。九五の天子(トップ)が普(あまね)く親しむ道を施(ほどこ)すからである。ぐずぐず遅れて孤立している(和合できない)人は不幸な結果となる。一人孤立して人々から疎外され、終に困窮するのである。

《大象伝》
象曰、地上有水比。先王以建萬國親諸侯。
○象に曰く、地上に水有るは比なり。先(せん)王(おう)以って萬(ばん)國(こく)を建て諸侯を親しむ。
 小象伝は次のように言っている。大地(坤)の上に水(坎)が豊富に有る。間隙ない潤い(絶えることがない水の潤い)によって萬(ばん)物(ぶつ)を生々化成するのが比の卦象である。
 昔の王様はこの形を見習って、功(く)德(どく)ある臣下(人徳具えた有能な部下)を各地に分(ぶん)封(ぽう)(配置)して、大地と水が萬物を生々化成するように、諸侯(地域のリーダー)と臣民(人徳具えた部下や民衆)を養い育てるのである。

水地比九五(坤為地六五の之卦・爻辞)

《爻辞》
九五。顯比。王用三軀失前禽。邑人不誡。吉。
○九五。顯(あきら)かに比す。王三(さん)軀(く)を用(もち)ひ前(ぜん)禽(きん)を失ふ。邑(ゆう)人(じん)誡(いまし)めず。吉。
 九五は剛健中正の天子(トップ)である。多くの臣民(臣下・部下と民衆)から慕(した)われ、親しみ和合している。古(いにしえ)(昔)の天子三(さん)駆(く)の礼(君の狩猟は四方を囲まず三方を囲み、禽獣の逃げ道を作っておく)に倣(なら)って、来る者は拒まず去る者は追わない。
 臣民(臣下・部下と民衆)は自分から望んで親しみ和合するので、戒(いまし)める必要はない。九五は天下を泰平に導く明君だから、多くの臣民は幸福になれる。

《小象伝》
象曰、顯比之吉、位正中也。舎逆取順、失前禽也。邑人不誡、上使中也。
○象に曰く、顯かに比するの吉は、位正中なれば也。逆を舎てて順を取り、前禽を失ふ也。邑人誡めずとは、上の使うこと中なれば也。
 小象伝は次のように言っている。九五が多くの臣民(臣下・部下と民衆)から慕われ、親しみ和合して天下を泰平に導くのは、剛健正中で尊位(トップの地位)に居るからである。九五は来る者は拒まず去る者は追わない。このことを「前(ぜん)禽(きん)を失う」と言う。
 臣民(臣下・部下と民衆)は自分から望んで親しみ和合するので戒(いまし)める必要がない。組織の一番上に居る九五に正(せい)中(ちゆう)の德があるからである。