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四季と易経 その十四

如月(きさらぎ)と弥生(やよい)に中る区分

 如月と弥生にまたがる陰陽消長卦と十二支、二十四節氣の順序で整理してみる。

如月(きさらぎ)(和風月明)

【新暦二月一日から二十八日】
 「如月(二月)」は衣更着(きさらぎ)とも言う。まだ寒さが残っていて、衣を重ね着する(更に着る)月。
(https://www.ndl.go.jp/koyomi/chapter3/s8.html)

弥生(やよい)(和風月明)

【新暦三月一日から三十一日】
 「やよい」はイヤオヒ=草木が茂るという意味の言葉が変化したもの。(井上象英著「365日、暮らしのこよみ」Gakkenn、以下「暮らしのこよみ」と省略する)

地(ち)天(てん)泰(たい)(易経・陰陽消長卦)

【新暦二月二十二日から三月二十一日ころまで】

 次に易経の「地天泰」の全体像を表す言葉(卦辞・彖辞、彖伝、大象伝)を示す。これらの言葉は【二月二十二日ころから三月二十一日ころまで】に当て嵌まる。

《卦辞・彖辞》
泰、小往大來。吉亨。
○泰(たい)は、小(しよう)往(ゆ)き大(だい)來(き)る。吉にして亨る。
 泰は小(上卦坤の陰)が下(か)降(こう)し、大(下卦乾の陽)が上昇して、上下陰陽大いに交(まじ)わる。それゆえ、何事も調和して幸運を招き寄せる。何をやってもうまく行く。

《彖伝》
彖曰、泰小往大來。吉亨、則是天地交而萬物通也。上下交而其志同也。内陽而外陰、内健而外順、内君子而外小人、君子道長、小人道消也。
○彖に曰く、泰は小往き大來る。吉にして亨るとは、則(すなわ)ち是(こ)れ天地交わりて萬(ばん)物(ぶつ)通ずる也。上下交わりて其(そ)の志同じき也。内は陽にして外は陰、内は健にして外は順、内は君子にして外は小人、君子の道長じ、小人の道消(しよう)する也。
 彖伝は次のように言っている。泰は小(上卦坤の陰)が上卦(外卦)に往(い)って下降し、大(上卦乾の陽)が下卦(内卦)に来て上昇して、上下陰陽大いに交わる。それゆえ、何事も調和して幸運を招き寄せる。何をやってもうまく行く。天地が交わり、萬(ばん)物(ぶつ)が生成発展するのである。
 君德(トップの恩沢)が民(たみ)に普(あまね)く行き渡り、民の尊崇する気持ちが君(トップ)に通じて、君(くん)民(みん)志を同じくして天下泰平となる。内面は君子(下卦乾)の德を備えて、外面にその光を現さない(上卦坤)。内側に剛健な志を抱き、外側は柔順に人に接する。
 根幹(内卦)に君子が居て、末端(外卦)に小人が居る。君子の道は盛んに伸びるが、小人の道は衰退するのである。

《大象伝》
象曰、天地交泰。后以財成天地之道、輔相天地之宜、以左右民。
○象に曰く、天地交わるは泰なり。后(きみ)以て天地の道を財(ざい)成(せい)し、天地の宜(ぎ)を輔(ほ)相(しよう)し、以(もつ)て民(たみ)を左右(たす)く。
 大象伝は次のように言っている。天地交わり大いに和合するのが泰の卦象である。君主(トップ)はこの卦象に見習って、天地の道を踏み外さないように仁政を行って人の道を補(おぎな)う。萬(ばん)民(みん)に寄り添うように國(組織)を治めるのである。

寅(とら)(十(じゆう)二(に)支(し))

 陰陽消長卦の「地天泰」に当て嵌まる十二支は「寅(とら)」である。
 「のびる」に通じ、万物がいっせいに芽を吹き出した状態を意味している。(陰陽五行)
 寅は演に通じ、進展を意味する。万物が演然として地上に生ずる意である。(北尾吉孝著「強運をつくる 干支の智恵」致知出版社、以下「干支の智恵」と略す。)
(四季と易経 その十四)