毎日連載! 易経や易占いに関する情報を毎日アップしています。

抜粋「現代語訳(超意訳) 呑象高島嘉右衛門著 増補 高島易斷 上下巻 占例篇」 火澤睽 一

2022年7月24日

三八 火沢睽 |・| ・||

睽、小事吉。
□睽(けい)は、小(しよう)事(じ)は吉。
 睽は上卦離(火)は上に進み、下卦兌(沢水)は下に進む。お互いの意志が正反対を向いて背き合う時だが、明らか(離)に悦ぶ(兌)性質によって、小事は成就する。
彖曰、睽、火動而上、澤動而下。二女同居、其志不同行。説而麗乎明、柔進而上行、得中而應乎剛。是以小事吉。天地睽而其事同也。男女睽而其志通也。萬物睽而其事類也。睽之時用、大矣哉。
□睽は、火動きて上(のぼ)り、沢動きて下(くだ)る。二女同じく居(お)り、其(その)志、行(おこない)を同じくせず。説(よろこ)びて明に麗(つ)き、柔進みて上り行き、中を得て剛に応ず。是(ここ)を以て小事は吉。天地睽(そむ)きて其(その)事(こと)同じきナリ。男女睽(そむ)きて其(その)志通ずる也。万物睽(そむ)きて其(その)事(こと)類する也。睽(けい)の時(じ)用(よう)、大なる哉(かな)。
 上卦離(火)が上に進み、下卦兌(沢水)は下に進む。お互い向かうところが異なり背き合う形。一つの家に中女(離)と少女(兌)が同居して、志と行動が異なり背き合う形。
一方で、「悦んで(兌)明に麗く(離)」という性質があり、柔順な天子六五が中庸の德を得て剛健な家臣九二と志を通じている。全体を和合一致させることはできないが、柔順な天子と剛健な家臣が志を通じて、小事は成就する。
 天地(陰陽)は時に反発し、相交わって萬物が育まれる。男女も時に反発し、相交わって子孫が繁栄する。萬物も時に反発し、相交わって生成発展する。
睽の時の働きは、何と偉大なことであろうか。
象曰、上火下澤睽。君子以同而異。
□上は火、下は沢(さわ)なるは睽(けい)なり。君子以て同じくして異なる。
 火(離)は上に、沢(兌)は下に流れて、相背(そむ)くのが睽の形。君子はこの形を見習って、人と同じくすべきところは同じくし、異を唱えるべきところは一人毅然と異を唱える。

 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての原文の一部。
(占)人ト交ルニ互ニ思想ノ相違ヨリ、意外ノ變ヲ起スベシ、甚シキニ至リテハ、骨肉讎敵ニ化シ、親疎旦夕ニ變ズ、愼ムベキナリ、睽ノ時ハ、剛ニ施スニ宜シカラズ、・・・
 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての現代語訳。
(占)人との交際で、お互いの価値観やイデオロギーの違いによって、予想してもいなかった事変を起こす時。非道い場合は、親しい人々が憎しみ合って争うことになる。慎むべきである。
○睽の時は、強く打って出るとろくな結果にならない。何事も温和であることを善しとする。
○弓矢を射る・鉄砲を撃つという形。弓矢や鉄砲などの武器を用いて何事かを訴えて、果敢に決断すると結果が出る。
○お互い憎み合う形。お互い気持ちがギクシャクして、それまで築き上げてきた人間関係が壊れる。
○お互いに背き合って、意見が正反対になる。
○お互いに憎み合って、徹底的に相手が嫌いになる。
○親しみ和合することが、どうしてもできない時である。
○何事も疑惑が多く、相互に不信になる。
○大事業に取り組めば大失敗する。小事は成功することもある。
○明智を具えた人に従って、事業に取り組めば成就する。
○相手に一生懸命に訴えかけても、全く取り合ってくれない時。
○火を発する武器(鉄砲など)を用いた闘争が起こる時。
○結婚を占った場合は凶。結婚は諦めるべき。
○物価は始め下がって後に上がる。売買には苦情が伴う。

睽 初九 |・| ・||

初九。悔亡。喪馬勿逐。自復。見惡人无咎。
□初九。悔(くい)亡ぶ。馬を喪(うしな)う。逐(お)ふ勿(なか)れ。自(おのずか)ら復(かえ)る。惡(あく)人(にん)を見れば咎无し。
 泰然と構えて動かない。後悔する要因はなくなる。九四を追いかけてはならぬ。
 悪人九四が言行を悔い改めて、初九のところへやって来る。
 初九は九四を寛大に受け入れる。咎められない。
象曰、見惡人、以辟咎也。
□惡人を見るは、以て咎を辟(さ)くる也。
 九四を寛大に受け入れる。逆恨みされることを回避するのである。

 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての原文の一部。
(占)上位ノ不善人ヨリ交際ヲ求メラルルコトアリ、事善ナレバ從フベシ、不善ナレバ程能ク謝絶シテ、之ニ從フ可ラズ、孔子ガ南子ヲ見、陽貨ニ遇シモ、・・・
 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての現代語訳。
(占)善からぬ上司や先輩から声をかけられることがある。善い事ならば従うべきだが、悪い事ならやんわりと断って従ってはならない。孔子は南子や陽貨から声をかけられても、やんわりと断って従わず、災難を招き寄せることを回避した。
○昔から賢者が悪人から声をかけられ、強く拒絶して災難を招き寄せたことが少なくない。慎むべきである。
○物事を受け容れることができないことが原因となり、とんでもない災難を招き寄せ、過失を犯し後悔することになる。

 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占例の原文の一部。
(占例)友人某來リテ、氣運ヲ占ハンコトヲ請フ、乃チ筮シテ、睽ノ初爻ヲ得タリ、