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期間限定「現代語訳(超意訳) 呑象高島嘉右衛門著 増補 高島易斷 上下巻 占例篇」 火天大有

2022年5月19日

十四 火天大有 |・| |||

大有、元亨。
□大有は、元に亨る。
 大有は乾(天)の上に離(太陽)が在る。天上に太陽が燦々と輝いて普く天下を照らす。一陰六五が衆陽を率いる。何事も無条件にすらすら通る。
彖曰、大有、柔得尊位、大中而上下應之、曰大有。其德剛健而文明、應乎天而時行。是以元亨。
□大有は、柔尊位を得、大中にして、上下之に応ずるを、大有と曰う。其の德剛健にして文明、天に応じて時に行う。是を以て元に亨る。
 柔順な六五が尊位に在る。偉大な中庸の德を得て、上下五陽が心服するから、大いに所有する(大有)と言う。
 六五は強く健やか(乾)で明智(離)を備え、天命に順応して時に中る。それゆえ何事も無条件にすらすら通る。
象曰、火在天上大有。君子以遏惡揚善、順天休命。
□火、天上に在るは大有なり。君子以て惡を遏(とど)め善を揚(あ)げ、天の休(きゆう)命(めい)に順う。
 太陽が天上に在って燦々と輝き普く天下を照らすのが大有の形。
 君子は、悪を絶って、善を勧め、天命に順応する。

 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての原文の一部。
(占)此爻ヲ得ルトキハ、天性頴敏ニシテ氣力アリ、加フルニ學問ニ富ミ、實地ニ經験アル人ニ接シテ、智識益々進ムモノトス、且ツ神明ノ保護アリ、盛運ニ赴クベシ、唯身ノ驕ヲ愼ムベシ、・・・
 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての現代語訳。
(占)天性に恵まれ、氣力も充実しており、学問に優れている。経験豊富な人と交際しており、知識は豊富である。神仏のご加護によって、盛運に向かう。驕らないように気を付けるべきである。
○寛大で仁を具えた人が高い地位を得て、大衆から慕われる時。
○大富豪が善良な支配人を雇って財産を保つ時。
○思いやりと慈しみの心で、大衆をやさしく教え導く時。
○太陽が遙かかなた天の真上に在る象ゆえ盛運の時である。少しずつ傾いていく予兆もあるが、常に自戒して、慎みの心を抱き続ければ、長期間大有の時を維持することができる。
○富有になって人を侮り贅沢三昧するようになると、過失を犯すようになる。戒めるべきである。
○やっかいなことを引き受ける時でもある。
○売買で利益を得る。得た利益は手放さずに蓄えるべきである。
○女性が世帯主(あるいはリーダー)になる時である。
○女性が驕り高ぶって人から、嘲(あざけ)られる時でもある。
○離の卦徳である①聡明さや明智を持っていなければ、前には盗賊が立ち塞がり、後には悪口が飛び交っても、このことに気が付かない。②決断すべき時に決断できなければ、賢人を抜擢任用して小人を失脚させることはできない。③権威を具えていなければ(立派な人格を具えていなければ)、大衆から敬され慕われることはできない。以上の三つが具わってはじめて大有の時が成立する。
○多くの費用がかかるが得るところは少ない。人に施すことばかりで、自分が得ることはできない時。
大有 初九 |・| |||

初九。无交害。匪咎。艱則无咎。
□初九。害に交わる无し。咎あるに匪(あら)ず。艱(なや)めば則ち咎无し。
 初九は、富有の中に驕傲怠惰が潜んでいる上位の人と疎遠である。富有自体は咎められないが、富有の中には驕傲怠惰が潜んでいる。戦々兢々として自らを慎めば、咎められるような過失は免れる。
象曰、大有初九、无交害也。
□大有の初九は、害に交わる无き也。
 富有の中に驕傲怠惰が潜んでいる上位の人を遠ざけて、驕傲怠惰にならぬよう自戒するのである。

 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての原文の一部。
(占)君子ト雖モ交際廣カラズ、人ニ知ラレズ、又信ゼラレザルノ時トス、學士博士市井ニ住居シテ、防火夫ニ窘メラレ、(中略)實ニ他日ニ望アルノ占トス・・・
 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての現代語訳。