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易経 繋辞下伝を読み解く 第二章 五  第三章 第四章

古之葬者。厚衣之以薪。葬之中野。不封不樹。喪期无數。後世聖人易之以棺椁。蓋取諸大過。上古結繩而治。後世聖人易之以書契。百官以治。萬民以察。蓋取諸夬。
○古(いにしえ)の葬る者は、厚く之に衣(き)するに薪(しん)を以てし、之を中野に葬り、封(ほう)せず樹(じゆ)せず、喪(そう)期(き)数无し。後世の聖人之に易うるに棺(かん)椁(かく)を以てするは、蓋し諸を大過に取る。
 上古は結(けつ)縄(じよう)して治まる。後世の聖人之に易うるに書(しよ)契(けい)を以てし、百(ひやつ)官(かん)以て治め、万民以て察(あきら)かなるは、蓋し諸を夬(かい)に取る。
 大昔は人が亡くなると遺体の上の草木を厚く盛って覆い、遺体を野原の中に置いたままで、土を盛り木を立てて墓標とすることもしなかった。また喪中という期間の定めもなかった。やがて聖人が登場すると、このような野蛮な状態を改め、遺体を棺桶に入れて葬るようになった。これは、中身が充実し過ぎている(厚く葬ると解釈する)澤風大過(・||||・ 大過は大きな坎、坎は埋葬の形)の卦象を参考にしたのであろう。
 大昔は、縄の結び目を様々な目印として用いることによって世の中が治まっていた。やがて聖人が登場して、網の結び目だけでは表せないメッセージや仕組みを文字や割り符(昔の為替手形)を作った。沢山の役人がそれを用いて世の中を治め、民はそれをお上からお墨付きを得たものとして用いた。これは割り符の形を表わす上卦兌からなる澤天夬(・||||| 夬は決裁という意味がある)の卦象を参考にしたのであろう。

第三章

是故易者象也。象也者像也。彖者材也。爻也者效天下之動者也。是故吉凶生悔吝著也。
○是(こ)の故に、易は象也。象とは像(かたど)る也。彖(たん)は材也。爻とは天下の動に效(なら)う者也。是の故に、吉凶生じて悔吝著(あら)わるる也。
 以上のようであるから、東洋最古の古典である「易経」には、宇宙のあらゆる事象や生命の営みが象として表現されている。象とは「変易・不易」の法則を六十四の象の物語として描き出したものである。彖辞(卦辞)は、六十四の物語(六十四卦)一つひとつのあらすじやはたらきを示した言葉である。爻辞(象辞)は、六十四の物語に内在する六つの物語を、天地や人間社会に擬(なぞら)えて示した言葉である。また、彖辞(卦辞)や爻辞(象辞)には、物語の吉凶が明示され、吉凶に至る前の兆候である悔吝が暗示されているのである。

第四章

陽卦多陰。陰卦多陽。其故何也。陽卦奇。陰卦偶。其德行何也。陽一君而二民。君子之道也。陰二君而一民。小人之道也。
○陽卦は陰多く、陰卦は陽多し。其の故は何ぞや。陽卦は奇、陰卦は耦(ぐう)なればなり。其の徳行は何ぞや。陽は一君にして二(に)民(みん)、君子の道也。陰は二君にして一民。小人の道也。
 太極を陽と陰に分け、八つの象(かたち)に展開した八卦の中で、震(・・|)、坎(・|・)、艮(|・・)と云う陽の性質を持つ八卦は、陽爻よりも陰爻が多く、その反対に、巽(||・)、離(|・|)、兌(・||)と云う陰の性質を持つ八卦は、陰爻よりも陽爻が多い。これには、どんな意味があるのだろうか。
 陽と陰の爻が三つ重なってできている八卦は、少ない爻をもって「主」と考える。一陽二陰からなる八卦は、奇数とされる陽が「主」となるので、これを陽卦(陽の性質を持つ卦)と云う。一陰二陽からなる八卦は、偶数とされる陰が「主」となるので、これを陰卦(陰の性質を持つ卦)と云う。
 陽卦と陰卦を德行という切り口で捉えると、どう考えられるのであろうか。
 陽卦は一陽二陰、すなわち一人の君主・君子に、複数の民・小人が順っている。これは国が治まっている形であり、君子の道である。これに対して陰卦は一陰二陽、すなわち一人の民・小人を、複数の君主・君子が治めている。これは国が亂れている形であり、小人の道である。