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易経 繋辞上伝を読み解く 第八章 一

2021年3月10日

第八章
聖人有以見天下之賾、而擬諸其形容。象其物宜。是故謂之象。
〇聖人以て天下の賾(さく)を見る有り。而して諸(これ)を其の形容に擬(なぞら)え、其の物宜に象る。是の故に之を象と謂う。
聖人と称される伏羲は、陽と陰が交わって八卦や六十四卦に発展していく原理を発見して、天地人の道が幽玄で奥深いことを観察した。そして、天地人の道が幽玄で奥深いことを無形の宇宙空間と有形の惑星(大地と山川草木禽獣等)として形容した。萬物は天地人の道の宜しきに適(かな)っている物として象(かたど)られた。それゆえ、萬物を象と言うのである。

聖人有以見天下之動。而觀其會通。以行其典禮。繋辭焉以斷其吉凶。是故謂之爻。
〇聖人以て天下の動を見る有り。而して其の会通を観て、以て其の典礼を行い、辞を繋けて、以て其の吉凶を断ず。是の故に之を爻と謂う。
 聖人と称される文王と周公旦は、陰陽消長によってあらゆる事象が変幻自在に変化することを観察した。陰陽消長変化により、あらゆる事象が出会って通ずる様子から、陰陽消長変化には常に見られる一定不変の法則があることを見抜いたのである。
 そこで、六十四卦に卦辞・彖辞を懸け、三百八十四爻に爻辞を懸けたのである。卦辞・彖辞並びに爻辞には、その時々の吉凶禍福を断定する文章が盛り込まれている。
 それゆえ、三爻により成る八卦が重なった六十四卦のそれぞれの象から吉凶禍福を断定した文章を卦辞・彖辞と言い、六爻から成る六十四卦の一つひとつの爻が位置している象から吉凶禍福を断定した文章を爻辞と言うのである。

言天下之至賾而不可惡也。言天下之至動而不可亂也。擬之而後言。議之而後動。擬議以成其變化。
〇天下の至(し)賾(さく)を言えども悪(にく)む可からざる也。天下の至動を言えども乱る可からざる也。之を擬(なぞら)えて後に言い、之を議(はか)りて後に動き、擬(ぎ)議(ぎ)して以て其の変化を成す。
 易経の卦爻の象には、天地(天下)の深遠な原理原則が表れており、天地の道が正しく現れているから疑ったり憎んだりしてはならない。
 また、易経の卦爻の象には、天地(天下)のあらゆる変化が現れているけれども、決して混乱したりはしないのである。
 以上のように、易経の卦爻の象を乾坤(陽陰)の性質に倣って、後に卦辞・彖辞、爻辞に言葉を懸けた上で、その言葉をじっくりと読み解いてから行動するのである。
 このようにして、卦辞・彖辞、爻辞を読み取ることによって、どのような事象にも適切に変化して対応できるから、物事を成就させることができるのである。