毎日連載! 易経を中心に日本の心に関する情報を毎日アップしています。

易経(周易)を読み解く 十九(水雷屯 初・二)

2021年4月30日

初九 ‥―‥ ‥‥― 之卦 八水地比
初九、磐桓。利居貞。利建侯。
○初九、磐(はん)桓(かん)す。貞に居(お)るに利(よろ)し。建(た)てられて侯(こう)たるに利(よろ)し。
 初九は屯の時の主人公。最下に居て身分卑しく、時到らぬため、軽率に飛び出してはならない。上役から声がかかるまで泰然と構えて、正しい道を守るが宜しい。上役に抜擢任用されたら、自信を持って将来を切り開いて行くが宜しい。
象曰、雖磐桓、志行正也。以貴下賤、大得民也。
○象伝に曰く、磐(はん)桓(かん)すと雖(いえど)も、志正しきを行う也。貴(たつとき)を以て賤(いや)しきに下(くだ)る、大いに民(たみ)を得る也。
 小象伝は次のように言っている。初九は最下に居て身分卑しく、時到らぬため、軽率に飛び出してはならないが、志は屯難の時を切り開くことにある。今は卑しい地位に甘んじて謙っているが、抜擢任用されれば、大いに世間の喝采を浴びて、民は心服する。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)才能と人德を具えているから、大きな任務を任せられる。だが、今は屯難の時だから、自分に対しては(内面的には)、正しい道を履み行ない、世間に対しては(外面的には)、信用・信頼関係を築き上げ、時が至るのを待つべきである。
事を為し遂げるためには、世間の人望を得るしかない。人望があれば、社会的弱者や愚鈍な人々からも信頼される。普通の人は、ただ社会的な地位を得ることを望み、地位を捨ててまで、信頼関係を大切にしない。智恵を身に付けても、情に欠ける。
陽は尊ぶが、陰には見向きもしないということである。このような人が、世を治めて、民を率いることなど、できるはずがない。
リーダーたる者、今は屯難の時であることを、よくよく考えて、さまざまな配慮をしなければならない。
天命を授かって、国家の発展に寄与すべく、己を虚しくして身を修め、心から民が幸せになることを願えば、やがて、社会的な大事業を成し遂げることができる。正しい道をコツコツと履み行なうことを怠り、時が至る前に大事業を成し遂げようとすれば、功を上げるどころか、人災を招き寄せることになる。
○時が至るのを待って、成長を図る(伸ばす)べきである。あらゆる事を長い目で見るべきである。
○険阻艱難に遭遇した場合は、あせって進んではならない。正しい事をコツコツと積み上げて、時が至るのを待つべきである。盥(たらい)の水滴が一粒一粒落ちて、水が一杯になるように…。
○正しい事を、コツコツと積み上げなければ、どうして、屯難の時を脱することができようか。できるはずがない。
○水難の象(かたち)がある。死に至る可能性すらある。
○社会的身分が低くて、身分の高い人から遠ざけられる。
○時が至らないのに前に進もうとする人は、邪心を抱いて、悪知恵を働かせて言葉を飾り、他人を騙そうとする。

六二 ‥―‥ ‥‥― 之卦 六十水澤節
六二.屯如、邅如、乗馬班如。匪冦、婚媾。女子貞不字、十年乃字。
○六二。屯(ちゆう)如(じよ)たり、邅(てん)如(じよ)たり、馬に乗りて班(はん)如(じよ)たり。冦(あだ)するに匪(あら)ず、婚(こん)媾(こう)するなり。女子貞(てい)にして字(あざな)せず、十年にして乃(すなわ)ち字(あざな)す。
 六二は九五の処に進んで行こうとするが、屯難の時ゆえ、思うように進めない。馬に乗って行こうとすれば、落馬して引き返すことになる。比している初九に求婚されるが、九五を慕って相手にしない。ひたすら九五を慕い続けるが、今は屯難の時ゆえ、直ぐには九五と結ばれない。十年もの久しき間、九五を慕い続ければ、やがて屯難の時を脱して、九五と結ばれる。(初九を支援して応じる九五と橋渡しすることもできるのだが…。)
象曰、六二之難、乗剛也。十年乃字、反常也。
○象に曰く、六二の難は、剛に乗れば也。十年にして乃ち字(あざな)すとは、常に反(かえ)る也。
 小象伝は次のように言っている。九五の処に進んで行こうとして、思うように進めず、馬に乗って行こうとして、落馬して引き返すことになるのは、屯難の時の救世主である陽剛の初九が直ぐ下に居て比する六二に求婚しているからである。ひたすら九五を慕い続けるが、直ぐには九五と結ばれず、十年もの久しき間、九五を慕い続けて、ようやく九五と結ばれるのは、十年経って、産みの苦しみ(屯難)の時を脱してからである。(どうして初九を支援して応じる九五に橋渡ししないのであろうか…。)

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)この爻が出たら、至誠の心でトップリーダー(九五)に尽くそうとするが、不幸なことに、今は屯難の時ゆえ、トップリーダーの下に走って行こうとしても逢うことすらできない。
しかも、眼中にはない、地位の低い初爻から、強く求められて(熱烈なラブコールがあって)、それを大きな迷惑と感じる。
その錯綜した状態、六二にとっては実に困難な状態は、言葉では表現できないほど辛い時である。だが、十年という長い年月が経過すれば、時運が大きく変化して、トップリーダー(九五)と意気投合し、ようやく運氣が盛んになるという占いである。
○以上のようであるから、正しい道を固く守って、困難に耐え、時運が至るのを待つべきである。
○しばらく辛さに耐えれば、やがては志が実現すると信じる時である。