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易経(周易)を読み解く 百六(雷風恆 四五上)

九四 ‥‥― ――‥ (雷風恆)之卦 四六地風升
九四。田无禽。
○九四。田(かり)に禽(えもの)无(な)し。
 陽剛不中正(陽爻陰位)の九四は、陰柔不中正(陰爻陽位)の初六と応じている。不中正同士が応じても善い結果は得られない。九四は陽剛で上卦震(動く)の主爻(狩人)なので動こう動こうとしており、初六は陰柔で下卦巽(伏せて入る)の主爻(禽獣)であり、道德心に乏しく思(し)慮(りよ)に欠けている。正応だが相性が悪く、幾(いく)久しく仲睦まじい夫婦の道を全うすることができない。禽獣がいない土地で狩りをしているようなものである。
象曰、久非其位、安得禽也。
○象に曰く、其(そ)の位(くらい)に非(あら)ざるに久しくす、安(いずく)んぞ禽(えもの)を得(え)ん也(や)。
 小象伝は次のように言っている。陽剛不中正の九四は本来自分が居るべきではない位(陽爻陰位)に久しく止まって動かない。どうして禽獣を獲ることができようか。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)下卦巽の上に乗っていることを自覚していない。自分は上卦震に属しており、さらに上を目指している。勘違いも甚だしい。見通しを完全に誤って、いくら苦労しても、報われない禽獣である。
○政治に携わっている人ならば、今の体制を一変するか、引退するかの決断を迫られる時である。一般人も同様である。
○自分の一存で事を決断しようとするが、失敗して後悔する。
○心の中がワサワサとして落ちつかずに、散財する時である。
○何事も、見ることはできるが、手に取ることができない。
○部下から信用が薄いのに、部下を酷使しようとしている。どんなに頑張っても成果を上げられない。

六五 ‥‥― ――‥ (雷風恆)之卦 二八澤風大過
六五。恆其德貞。婦人吉、夫子凶。
○六五。其(そ)の德を恆(つね)にす。貞。婦人は吉。夫子は凶。
 六五は陰柔不正(陰爻陽位)だが中を得ている。正応九二は陽剛不正(陽爻陰位)だが中を得ている。陰柔な夫六五が陽剛な妻の力を借りて事を成す象である。どちらも中を得ており、恆の道(幾(いく)久しく仲睦まじい夫婦・君臣の道)を固く守っている。
 柔順に従うのは婦人の道である。それゆえ、六五が女であれば宜しきを得る。しかし、六五が男(君主・天子・トップ)であれば、これほど不甲斐ないことはない。
象曰、婦人貞吉、從一而終也。夫子制義、從婦凶也。
○象に曰く、婦人は貞にして吉とは、一に從って終れば也。夫子は義を制す。婦に從うは凶なる也。
 小象伝は次のように言っている。六五が女であれば正しくして宜しきを得るのは、妻は夫に柔順に従って生涯を終えるものだからである。夫(君主・天子・トップ)は事変に処するに大義を立てて陣頭指揮を執るのが務めである。
 夫(君主・天子・トップ)が妻や臣下に柔順に従うだけで、事変に処することができないのは、実に情けないことであり、恥ずかしいことであり、不甲斐ないことである。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)大學に「天子から庶人まで身を修めることが本分だ」とあるが、身を修めることは、本業(今の職業)を全うして、自分の任務を果たすことである。だが、五爻は自分の任務を放棄して人に頼っている。まるで女の腐ったような男である。勇気を出して本業に励むべきである。それができなければ、凶運を招き寄せる。慎むべし。
○婦人が自分の意見を持たずに、一人の男の意志に従って人生を全うする時。

上六 ‥‥― ――‥ (雷風恆)之卦 五十火風鼎
上六。振恆。凶。
○上六。恆(つね)を振(ふる)う。凶。
 上六は陰爻陰位で不(ふ)才(さい)不(ふ)中(ちゆう)。上卦震の極点に居るので、恆(つね)の道(幾(いく)久しく仲睦まじい夫婦・君臣の道)に窮(きゆう)してふらふらと妄動している。上六の正応九三は利益を求めて右往左往している。このような有様では、事を損ない禍(わざわい)を招き寄せる。
象曰、振恆在上。大无功也。
○象に曰く、恆(つね)を振(ふる)うて上(うえ)に在り。大いに功(こう)无(な)き也。
 小象伝は次のように言っている。上六は恆の時の一番上の位(くらい)に在(あ)りながら、恆(つね)の道(幾(いく)久しく仲睦まじい夫婦・君臣の道)に窮(きゆう)してふらふらと妄動している。
 このような有様では功を上げられないばかりでなく、大きな禍(わざわい)を招き寄せる。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)本業を疎かにして他の仕事を羨んで、しばしば転職する。他の住居を羨んで、しばしば引っ越しする。樹木をしばしば植え換えれば樹木は枯れて果実は実らない。何事も本分を疎かにして他を羨めば、事業は滞って必ず破綻に至る。以上を反面教師として慎むべきである。
○常に忙しくて走り回っているが、何の成果も上がらない。骨折り損の草臥(くたび)れ儲(もう)けの時である。
○常識を失って災難を招き寄せる。深く妄動を戒めるべきである。
○何のために仕事をしているのか、その理由を知らない。いくら仕事をしても、何の成果も得られない。