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易経(周易)を読み解く 百五(雷風恆 初二三)

初六 ‥‥― ――‥ (雷風恆)之卦 三四雷天大壯
初六。浚恆。貞凶。无攸利。
○初六。恆を浚(ふか)くす。貞(ただ)しけれども凶。利しき攸(ところ)无(な)し。
 初六は陰柔不中正。陰爻陽位で才能や道德心に乏しく思(し)慮(りよ)に欠けているのに気が強い。最下に居て正応九四を深く求める(深く関係しようとする)。今は恆(こう)の道の始めだから深く求める(深く関係しようとする)時ではない。
 初六の性格や行動も時のタイミングも恆の道に合致していないので、成し遂げようとすることが正しい道に適(かな)っていたとしても失敗するであろう。宜しいことは何一つない。
象曰、恆浚之凶、始求深也。
○象に曰く、恆を浚(ふか)くするの凶は、始めに求むること深ければ也(なり)。
 小象伝は次のように言っている。成し遂げようとすることが正しい道に適(かな)っていたとしても失敗する。時の始めの(相手と深く関係しようとしてはならない)の段階で、相手(正応九四)と深く関係しようとするからである。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)才能も力量もないのに、目上の人に不相応な望みを依頼して、それが叶うと信じて返事を待っている。だが、目上の人は忙しくて、望みは叶わない。目上の人に迷惑をかけ、自分は失望する。
自分の力を知らず、苦労もせずに、楽して願いを叶えようとする。欲に目が眩んでいる。それゆえ「貞凶」である。
ろくに井戸を掘っていないのに美味しい水を得ようと欲する。結果を急ぐ余りに、地に足が付かず何事も実現しない。
結果を急ぐ人は、必ず途中で諦める。
卑しい地位に居て、言論は立派である。時事に疎(うと)くて、利益が得られず、咎められる。何事も、慎むべきである。
○計画している事業に障害がある。実現は難しい。
○実情を知らないのに、深く入り込もうとする。
○付き合いが浅いのに、深い所を求めて、猪突猛進する恐れあり。
○深遠な事に生半可な知識で関わるべきではない。順序立てて修養し、己と知識を磨くべし。

九二 ‥‥― ――‥ (雷風恆)之卦 六二雷山小過
九二。悔亡。
○九二。悔(くい)亡(ほろ)ぶ。
 九二は陽爻陰位の不正なので、恆(こう)の道に背いて後悔しそうだが、正応六五と陰陽相応じており、剛中の才能と道德心で柔中の天子(トップ)をしっかりと補佐する。
 それゆえ後悔することを免れて、恆の道を全うする(恆の成卦主)のである。
象曰、九二悔亡、能久中也。
○象に曰く、九二の悔(くい)亡(ほろ)ぶるは、能(よ)く中(ちゆう)に久しければ也。
 小象伝は次のように言っている。九二が後悔することを免れて、恆の道を全うするのは、剛中の才能と道德心で幾久しく時に中る(正応六五を補佐する)からである。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)時に重大な任務を遂行する職責を担う。命をかけて職務を全うすべし。結果を出すためには、小善を積み上げることが必要である。事を成し遂げるためには、苦労に苦労を重ねることが必要である。
○本業を守るために、よく勉強すべき時。本業以外の事に心を奪われてはならない。
○功業を成し遂げ、志を実現する時。

九三 ‥‥― ――‥ (雷風恆)之之卦 四十雷水解
九三。不恆其德。或承之羞。貞吝。
○九三。其(そ)の德を恆(つね)にせず。或(ある)いは之(これ)に羞(はじ)を承(すす)む。貞(ただ)しけれども吝(りん)。
 不中過剛で陽爻陽位、やり過ぎる上にやり過ぎる性格の九三は、下卦巽(利益を貪る、進退果たさず)の極点に居て、利益を求めて進退するが一向に成果が上がらず右往左往する。恆の德(幾(いく)久しく仲睦まじい夫婦・君臣の道)を守ることができない。誰にも相手にされず恥辱を受ける。正しくあろうとしても直ぐに変節する恥知らずである。
象曰、不恆其德、无所容也。
○象に曰く、其(そ)の德を恆(つね)にせず、容(い)るる所无(な)き也(なり)。
 小象伝は次のように言っている。九三は下卦巽(利益を貪る、進退果たさず)の極点に居て、利益を求めて進退するが一向に成果が上がらず右往左往する。恆(つね)の德(幾(いく)久しく仲睦まじい夫婦の道)を守ることができない。このような有様では、何(ど)処(こ)へ行っても誰にも相手にされずに、居場所もなくなる。最後は天からも見放される。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)どんな仕事であっても本業を固守すべきである。私利私欲で慣れない事業に手を出して失敗してはならない。役人は高給を目指して、経験のない職務に転任することを望んではならない。高給が実現しても、終には居場所がなくなり失敗に終わる。慎むべきである。
○自分を過信して妄進すれば、時を失して過ちを犯す。また人と言い争って絶交に至る。慎んで、これらの事態を防止すべきである。
○君子の働きかけを拒めば悪德を犯すことになる。自戒すべきである。
○色々な願望が錯綜して物事が滞る時である。
○万事混乱して散財することが多い時である。
○(女性の)帯を解くことがある。淫行に走って道徳を踏み外す事がある。慎むべし。