初六 ‥‥― ――‥ (雷風恆)之卦 三四雷天大壯
初六。浚恆。貞凶。无攸利。
○初六。恆を浚(ふか)くす。貞(ただ)しけれども凶。利しき攸(ところ)无(な)し。
初六は陰柔不中正。陰爻陽位で才能や道德心に乏しく思(し)慮(りよ)に欠けているのに気が強い。最下に居て正応九四を深く求める(深く関係しようとする)。今は恆(こう)の道の始めだから深く求める(深く関係しようとする)時ではない。
初六の性格や行動も時のタイミングも恆の道に合致していないので、成し遂げようとすることが正しい道に適(かな)っていたとしても失敗するであろう。宜しいことは何一つない。
象曰、恆浚之凶、始求深也。
○象に曰く、恆を浚(ふか)くするの凶は、始めに求むること深ければ也(なり)。
小象伝は次のように言っている。成し遂げようとすることが正しい道に適(かな)っていたとしても失敗する。時の始めの(相手と深く関係しようとしてはならない)の段階で、相手(正応九四)と深く関係しようとするからである。
【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
〇才能も力量もないのに、目上の人に不相応な望みを依頼して、それが叶うと信じて返事を待っている。だが、目上の人は忙しくて、望みは叶わない。目上の人に迷惑をかけ、自分は失望する。自分の力を知らず、苦労もせずに、楽して願いを叶えようとする。欲に目が眩んでいる。それゆえ「貞凶」である。ろくに井戸を掘っていないのに美味しい水を得ようと欲する。結果を急ぐ余りに、地に足が付かず何事も実現しない。結果を急ぐ人は、必ず途中で諦める。卑しい地位に居て、言論は立派である。時事に疎(うと)くて、利益が得られず、咎められる。何事も、慎むべきである。
○計画している事業に障害がある。実現は難しい。
○実情を知らないのに、深く入り込もうとする。
○付き合いが浅いのに、深い所を求めて、猪突猛進する恐れあり。
○深遠な事に生半可な知識で関わるべきではない。順序立てて修養し、己と知識を磨くべし。
以下省略。次の書籍をご覧ください。