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易経(周易)を読み解く 三六(風天小畜 全体)

九 風(ふう)天(てん)小(しよう)畜(ちく) ――‥巽風 ―――乾天
互卦 三八火澤睽  綜卦 十天澤履  錯卦 十六雷地豫
小畜、亨。密雲不雨、自我西郊。
○小(しよう)畜(ちく)は亨(とお)る。密(みつ)雲(うん)あれど雨ふらず、我(わ)が西(せい)郊(こう)よりす。
 小畜は小(陰)が大(陽)をやんわりと止める時である。乾が上に進もうとするので巽(そん)が止めようとするが、力で押し止めることはできない。柔順な德で君主(社長)や父(母)の心を和らげ止め(柔よく剛を制し)てこそ、臣下(部下)や子の志が行われる。
 下卦乾天は熱エネルギーを発するので大気(天空)に水蒸気が蓄えられる。水蒸気は天空で密雲となるが、上卦巽の風に遮られて雨は地上に降ってこない。
 別の見方をすれば、雲(六四の陰)は互(ご)体(たい)兌(だ)(二三四)の西の郊外から湧き起こるが、互体離(三四五)の太陽が照射して雨は降らない。(或いは)六四の陰(雲)が西の郊外から湧き起こるが、陰から働きかけると陰陽和合しないから雨は降らないのである。
 周の文(ぶん)王(おう)が殷(いん)の紂(ちゆう)王(おう)により羑(ゆう)里(り)に囚(とら)えられていた時に、易の卦(か)辞(じ)(彖(たん)辞(じ))を書いたと伝わる。その時文王が呟いた「わが志は天下泰平にあるが君主の紂王と志が和合せず、少し止められたる時であるなぁ」という嘆(たん)息(そく)の意に寓(ぐう)したという説もある。この場合、「我」は文王を「西郊」は周の国を指す。すなわち、「我(わ)が西(せい)郊(こう)よりす」とは、文王が周の国の羑(ゆう)理(り)(牢獄)に囚(とら)えられていたので、密雲は雨とならないのである。

彖曰、小畜柔得位而上下應之、曰小畜。健而巽、剛中而志行。乃亨。密雲不雨、尚往也。自我西郊、施未行也。
○彖に曰く、小(しよう)畜(ちく)は柔(じゆう)位(くらい)を得て、上(じよう)下(げ)之(これ)に應(おう)ずるを、小畜と曰(い)う。健にして巽(そん)、剛中にして志行わる。乃(すなわ)ち亨る。密雲あれど雨ふらずとは、往(ゆ)くを尚(たつと)ぶ也。我(わ)が西(せい)郊(こう)よりすとは、施(ほどこ)し未(いま)だ行われざる也。
 彖伝は次のように言っている。六四(柔)が正(せい)位(い)を得て上下の陽爻は皆六四に応比するので、下卦乾天が進むことをやんわりと止めるから小畜と名付けた。下卦乾は健やかで驕(おご)ることなく巽(そん)順(じゆん)に従うのである。九二と九五が剛健で中庸を得ているから、終には志を実現する。すなわち物事はすらっと通る(すらすらとは通らない)のである。
 下卦乾天は熱エネルギーを発するので大気(天空)に水蒸気が蓄えられる。水蒸気は天空で密雲となるが、上卦巽の風に遮られて雨は地上に降ってこない。
 やがて、次々と密雲が湧き起って地上に雨が降ってくることを貴ぶのである。雲(六四)は西の郊外から湧き起こるが、太陽が照射して雨は降らない。(或いは)六四の陰(雲)が西の郊外から湧き起こるが、陰から働きかけると陰陽和合しないから雨は降らない。(或いは)文王が周の国の羑(ゆう)理(り)(牢獄)に囚(とら)えられていたので、密雲は雨とならない。いずれにしても、未だ時が至らず慈雨を施すことができないのである。

象曰、風行天上小畜。君子以懿文德。
○象に曰く、風(かぜ)天(てん)上(じよう)を行くは小畜なり。君子以て文德を懿(よ)くす。
 大象伝は次のように言っている。天(乾)上に風(巽)が吹き渡っているので密雲が雨にはならない形が小畜の卦象である。
 君子はこの卦象を見て、己の文德の至らぬ(學問が足りない)から結果が出ないことをよく弁(わきま)えて、聖(せい)賢(けん)の學問を習い身を修めて密雲雨になる時を静かに待つのである。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)事態を改善する志があっても、邪魔者が妨害して、進むことができない。心配して悶々とする時。思っていることが実現しないので、夢を諦めがちである。運が開けるのは、先のことではない。よく勉め励んで、志ある夢を実現すべきである。女性が権力を握って、主人の権威が失墜する時。婿に入って他の家を相続する時でもある。
○小畜はあらゆる事が曖昧になって、確乎たる意志を持って事に取り組むことができにくい時である。
○「密(みつ)雲(うん)あれど雨ふらず」。企画した事業を実行できない。
○宰相の意志が実現する時。
○剛(つよ)くて健やかな志を心に抱きながらも、外面にはまったく表わさない時である。
○時は未だ至らないが、今の状態に安んずれば吉運を招く。
○願望はなかなか成し遂げられない。意志が通じない兆しがある。
○女性の存在が行動を思い止まらせて、なかなか行動できないことがある。また妻が夫を嫌うことがある。
○陰的な存在が盛んになり、陽的な存在に対抗しようとしている時は、君子は決して動いてはならない。深く自戒すべきである。
○物事を忌嫌い、人の気を惹き、苦しみを避けようとする。心の中にモヤモヤしたものを抱えて、言葉には出し難い時。
○多くの人の気持ちを迷わせる時。