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易経(周易)を読み解く 十六(坤為地 三・四)

六三 ‥‥‥ ‥‥‥ 之卦 十五地山謙
六三、含章可貞。或従王事。无成有終。
○六(りく)三(さん)、章(あや)を含みて貞(てい)にす可(べ)し。或(ある)いは王(おう)事(じ)に従う。成すこと无(な)くして終り有り。
 過ぎたる地位(中庸の位置に居る六二を過ぎた位置)に居る六三は、その能力を隠すように振る舞って、雄馬に仕える雌(めす)馬(うま)の道を、常に固く遵守すべきである。
 三は現場のトップの地位に中るので、時にはトップダウンの命令によって、組織の大事を任されることもある。事を成し遂げたからといって、現場のトップの職責として当然のことであるから、己の才智(才能と智慧)を誇ってはならない。
 現場のトップであろうが組織の歯車の一つであることを自覚して、己を虚しく、脇役に尽してこそ、その役割を果たせるのである。
象曰、含章可貞、以時発也。或従王事、知光大也。
○象に曰く、章を含みて貞にす可しとは、時を以て発する也。或いは王事に従うとは、知(ち)光(こう)大(だい)なる也。
 小象伝は次のように言っている。過ぎたる地位に居る六三は、その能力を隠すように振る舞って、雌馬の道を、常に固く遵守すべきである。現場のトップの地位に在るが組織の歯車の一つであることを自覚して、陽剛の能力を隠して、力を発揮すべきだからである。
 トップダウンの命令で、組織の大事を任されるのは、六三の才智(才能と智慧)が光大(光り輝くように偉大)だからである。(だからといって、己の才知を誇ってはならない。)

陰雖有美、含之以従王事、弗敢成也。地道也、妻道也、臣道也。地道无成、而代有終也。
○陰は美有りと雖(いえど)も之(これ)を含んで以て王(おう)事(じ)に従い、敢(あ)えて成(な)さざる也。地の道也。妻の道也。臣(しん)の道也。地の道は成すこと无(な)く、代(かわ)りて終る有る也。
 柔陰の君子の道は、敢(あ)えてその能力を隠すように振る舞って、雄(おす)馬(うま)に仕える雌(めす)馬(うま)の道を常に固く遵守するべきである。時にはトップダウンの命令によって、組織の大事を任されることもあるが、事を成し遂げたからといって己の才能を誇ってはならない。
 以上のような在(あ)り方が天(乾)に対する大地(坤)の道である。夫(陽)に対する妻(陰)の道である。君主(上司)に対する臣下(部下)の道である。大地(坤)の道は、事を成し遂げたからといって己の才能を誇ることなく、己を虚(むな)しくして、雄馬に尽くすのである。
 大地(坤)は天(乾)の元氣を丸ごと受け容れて萬(ばん)物(ぶつ)を生み出し、功(こう)は天に譲(ゆず)ることによって、その役割を全うするのである。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)才能があっても、時運は未だ至らない。益々身を修めて才能と學問を磨き、時運が至るのを待つ時。時機が至れば直ちに身を起こして事業を営なむべきである。始めは順調でなくても、その後必ず支援者が現れて成功する。自分は中心にならず見識のある人に従って事を為すことで吉運を招く。また、「王(おう)事(じ)に従う」とは、必ずしも公共事業とは限らず、国家の利益となる事業は全て「王事」である。雌馬がご主人様に順うように勉強して怠らないことを要する。
○愚に徹して、智恵のあることを見せてはならない。

六四 ‥‥‥ ‥‥‥ 之卦 十六雷地豫
六四、括嚢。无咎无譽。
○六(りく)四(し)、嚢(ふくろ)を括(くく)る。咎(とが)も无(な)く譽(ほまれ)も无(な)し。
 六四の大臣は六五の君主を脅かす地位(君主の側近)に居る。それゆえ袋の口をしっかりと結ぶように才德を包み隠して、愚(ぐ)人(じん)の如く振る舞うべきである。
 以上のようであれば過ちを犯すことはないが、君主の側近なのだから、誉められることもないのである。
象曰、括嚢、无咎、愼不害也。
○象に曰く、嚢(ふくろ)を括(くく)る、咎(とが)も无(な)しとは、愼(つつし)めば害あらざる也。
 小象伝は次のように言っている。柔陰の君子が君主を脅かす地位に居る時は、愚人のように慎むことによって、迫害される(側近が優秀なので君主がその座を奪われることを恐れて、側近を排除しようとする)ことを免れるためである。

天地變化、草木蕃。天地閉、賢人隠。易曰、括嚢、无咎无譽、蓋言謹也。
○天地變(へん)化(か)して、草(そう)木(もく)蕃(しげ)し。天地閉(ふさ)がり賢人隠る。易に曰く、嚢(ふくろ)を括(くく)る、咎(とが)も无(な)く譽(ほまれ)も无(な)しとは、蓋(けだ)し謹むを言う也。
 天地宇宙が生(せい)成(せい)発展して、萬物(日月から山川草木まで)が化成する。
 天地が相(あい)応じなければ、萬物は生(せい)生(せい)化成しないのである。それと同じように、君(くん)臣(しん)が相応じなければ、社会は乱れて、賢人は野(や)に隠れることになる。
 六四の爻辞に「六四の大臣は六五の君主を脅かす地位(君主の側近)に居る。それゆえ袋の口をしっかりと結ぶように才德を包み隠して、愚(ぐ)人(じん)の如く振る舞うべきである。以上のようであれば過ちを犯すことはないが、君主の側近なのだから、誉められることもない」とある。君主を脅かす地位に居る時は、只管(ひたすら)謹慎していることが肝要なのである。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)俗に財布の紐を固く結ぶ時。貯蓄して散財しない。国益や民の幸福を考慮せず、守銭奴として終る。
○占った人が社会的地位が高ければ、卑しむべき内容の占いとなる。
○普通の人が占った場合は、事無き時である。
○言論を慎まなければ、被害を受ける。
○吝(りん)嗇(しよく)の謗(そし)りを受ける時。
○財産を無駄に使ってはならない。