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易経(周易)を読み解く 百三八(澤天夬 初二三)

2021年12月14日

初九 ‥―― ――― (沢天夬) 之卦 二八澤風大過

初九。壯于前趾。往不勝爲咎。
○初九。趾(あし)を前(すす)むるに壯(さかん)なり。往きて勝たず。咎と爲す。
 剛健にして正位(陽爻陽位)の初九は最下に居て応比なく孤立無援である。だが、決するという夬の時の始めに中って、権力を有する佞人上六を除き去ろうとして前進する意欲は旺盛(陽爻陽位)である。しかし、無闇に前進しても勝てる見込はない。だから、無闇に前進すれば残念ながら咎(過失)を免れることはできない。
象曰、不勝而往、咎也。
○象に曰く、勝たずして往くは、咎(とが)也(なり)。
 小象伝は次のように言っている。初九は勝てる見込もないのに、勢いだけ(陽爻陽位)で無闇に前進する。暴(ぼう)虎(こ)馮(ひよう)河(が)の咎(とが)(過失)を免れないのである。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
〇下位に居て政治の是非を論じる。天下国家を憂えることは立派なことだが、経験不足の若輩者ゆえ、猪突猛進して災難を招き寄せる危険がある。将来の可能性を秘めた若者が、正義を盲信して身を誤ることは、国家にとって損失である。経験不足が招く悲劇である。
○大所高所から天下国家を俯瞰して、時流を把握して、時が至るのを冷静に待つことができなければ、天下国家を救うことはできない。
○時が至らなければ進まない。天下国家を救えるのは、豊富な経験を積んだ人物である。若輩者は自戒して慎むべきである。
○普通の人は、よく分を弁えて事に対処すべし。ともすれば分を超えたことを企画して、途中で挫折する。
○決断する勇気があるが、自戒すべき時である。猪突猛進する危険がある。この爻変ずると沢風大過となって自滅する。
○強引に進めば、災難を招き寄せる。
○木を切ることが原因となって訴訟に発展する。訴訟を押し進めても勝てる見込みはない。
○天に唾(つば)して、自分の身を汚す時である。
○人を疑って嫉妬する。それでも治まらずに憤怒する。

以下省略。次の書籍をご覧ください。