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易経(周易)を読み解く 百九八(水火既済 初二三)

2021年12月29日

初九 :|: |:|
   之卦 三九水山蹇

初九。曳其輪。濡其尾。无咎。
○初九。其(その)輪(わ)を曳(ひ)く。其(その)尾(お)を濡らす。咎无し。
 初九は剛健正位で最下に居て慎重な性格である。完成した時(完璧な形)の初めに居て、うっかり車が前に進まないように、車輪を後ろから曳き戻している。まるで狐(きつね)が川を渡ろうとしている時に後ろから引っぱられて、尻尾が濡れる所までしか進めないように、初九の車は前に進んで行くことができない。既に完成していて伸びしろがない既濟の時に中って、以上のように慎重であるから、人から咎められるような過失は犯さないのである。
象曰、曳其輪、義无咎也。
○象に曰く、其輪を曳くとは、義、咎无き也。
 小象伝は次のように言っている。初九は完成した時(完璧な形)の初めに居て、うっかり車が前に進まないように、車輪を後ろから曳き戻している。既に完成していて伸びしろがない既濟の道の大義に適っているので、人から咎められるような過失は犯さないのである。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
〇上位の人(上司)が突然困難に陥ったので、手助けしようとして慌てて出かけて行ったが、微力なので何の役にも立たず、途中で虚しく帰るしかない時。急な事なので、心意気は大したものだが、自分の力量不足を知らないので、災難を招き寄せる。泳げない人が溺れている人を助けようとして、二人共溺死するようなもの。よく思慮すべきである。
○患難辛苦を嘗め尽くした人は大事な時に挫折しない。苦労を知らないエリートは氣力が弱いので、大きな苦難に遭遇して恐れおののく。
○滅私奉仕する人は、要職に就いて馬車に乗る。青白いエリートは、学問が優れていても、経験不足ゆえ、馬車に乗ってはならない。馬車に乗れば危ない目に遭う。
○車が前に進もうとしているのを、制止しようとする。
○完璧に準備したのに、敗北して災難を招き寄せる。慎んで進むのを止めれば吉運を得る。進んでしまえば災難を招き寄せる。
○根本を修めることが大切だと反省して心を改め、慎み深くあれば、今の仕事や人間関係を維持することができる。

以下省略。次の書籍をご覧ください。