毎日連載! 易経を中心に日本の心に関する情報を毎日アップしています。

易経(周易)を読み解く 百十六(地火明夷 全体)

三六 地(ち)火(か)明(めい)夷(い) ‥‥‥坤地 ―‥―離火
互卦 四十雷水解  綜卦 三五火地晉  錯卦 六天水訟
明夷、利艱貞。
○明(めい)夷(い)は、艱(かん)貞(てい)に利(よろ)し。
 明夷は明るいものが傷付けられる(夷)時である。また、明夷は明るい太陽(下卦離)が大地(上卦坤)の下に沈み、君子が小人に仕える暗黒の時である。
 このような道無き時(無道)に如(い)何(か)に対処すべきかをよくよく考えなければならない。君子に降りかかる艱難辛苦に中(あた)って、時の流れに身を任せることなく、そうかといって、逆らうこともなく、常に正しい道を固く守ることが唯一の対処法である。

彖曰、明入地中明夷。内文明而外柔順、以蒙大難。文王以之。利艱貞、晦其明也。内難而能正其志。箕子以之。
○彖に曰く、明、地中に入るは明夷。内、文明にして外、柔順、以て大(だい)難(なん)を蒙(こうむ)る。文(ぶん)王(おう)之(これ)を以(もち)う。艱貞に利しとは、其の明を晦(くら)ます也。内、難にして而も能く其の志を正しくす。箕(き)子(し)之(これ)を以(もち)う。
 彖伝は次のように言っている。太陽(下卦離・明智と明德を具えた大人)が大地(上卦坤・小人)の下に沈んで真っ暗となり、暗黒の世を表しているのが明夷の形である。内に文明(離)の德を具え、外に柔順(坤)に振る舞って、暗黒の世に対処しても、大きな艱難辛苦が立ち塞がり、誰もこれを避けることができない。周の文(ぶん)王(おう)は、内に明智・明德を包み隠して幽閉にじっと耐え、(殷王朝の三分の二の領地を自国の領地として保有していながら)外に柔順に振る舞って暴君紂(ちゆう)王(おう)に仕えるしかなかったのである。
 「君子に降りかかる艱難辛苦に中(あた)って、時の流れに身を任せることなく、そうかといって、逆らうこともなく、常に正しい道を固く守ることが唯一の対処法である」とは、明德を隠しつつも、常に正しい道を固く守ることしか対処法はないのである。君子は艱(かん)難(なん)辛(しん)苦(く)が立ち塞(ふさ)がっても、己の明智・明德を包み隠して志操を貫くのである。紂王の叔父・箕(き)子(し)は狂人を装(よそお)って(明智・明德を包み隠し)紂王の奴(ど)隷(れい)に甘んじて、己の志を貫いたのである。

象曰、明入地中明夷。君子以涖衆、用晦而明。
○象に曰く、明、地の中に入(はい)るは明(めい)夷(い)なり。君子以(もつ)て衆に涖(のぞ)むに、晦(くら)きを用いて明らかなり。
 小象伝は次のように言っている。太陽(離)が大地(坤)の下に沈み隠れて世の中が真っ暗闇(暗黒社会)になってしまったのが明(めい)夷(い)の形である。
 君子はこの形(異常事態)に見習って、凡(ぼん)庸(よう)な大衆と接する時は、明德を包み隠して愚(ぐ)の如(ごと)く振る舞い、自らの内面は明智・明德を貫いて、さりげなく大衆と接することにより、知らず識らずのうちに大衆を善い方向に導くのである。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)内側に文明の智恵を具えていても、これを隠して愚昧であるように装わないと危ない時である。智恵がある人物と見なされると権力者に抑圧されて、不測の災難を招き寄せる。大きな事は成し遂げられないのは無論のこと、日頃のちょっとした言動や立ち居振る舞いを慎んで、不測の災難を招き寄せないように注意すべきである。
○眩(くら)まされる~暗黒の世界に陥る~時である。
○何事かに、迷い、惑わされる時である。
○無知・無能を装い、愚昧に徹すれば、不測の災難から回避できる。
○火事など火に関する災難に遭遇する。
○盗難などの災難に遭遇する時。
○何事も逼迫・閉塞する暗黒時代。
○不測の災難に遭遇する時。
○才能がある人は、才能があるために失敗する。世渡り上手な人は、私欲と小賢しい智恵によって身を滅ぼす。
○常に慎みの心を大切にして、不測の災難を回避すべき時である。
○物価は最初は上がるが、最後には下がる。