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易経(周易)を読み解く 九四(澤風大過 初二三)

初六 ‥―― ――‥ (澤風大過)之卦 四三澤天夬
初六。藉用白茅。无咎。
○初六。藉(し)くに白(はく)茅(ぼう)を用(もち)う。咎(とが)无(な)し。
 初六は柔順(陰)にして巽順(下卦巽の主)なので、人を敬い自分を慎む心が厚い。まるで、潔白な茅(ちがや)を祭器の下に敷くように常に恐(きよう)懼(く)戒(かい)慎(しん)している。それゆえ、倒壊の危機にある大過の時の最下に居て、咎(とが)を免れるのである。(公田連太郎「易経講話二」によると、大過は、陽爻陽位は陽に過ぎ、陰爻陰位は陰に過ぎるから善しとせずに、陽爻陰位と陰爻陽位は程よく調和するから善しとする。)
象曰、藉用白茅、柔在下也。
○象に曰く、藉(し)くに白(はく)茅(ぼう)を用(もち)うとは、柔、下(した)に在(あ)る也。
 小象伝は次のように言っている。初六が常に恐懼戒慎しているのは、最(さい)下(か)の位(くらい)に居て、柔順(陰)にして巽順(下卦巽の主)ゆえ、人を敬い自分を慎む心が厚いからである。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)自分の心身は柔らかく、剛健の相手に立ち向かって行く。慎みと敬(うやま)いの心を忘れずに巽順であるべきである。大事なことを思い立つ時。蟻の穴は堤を破壊する力がある。必ず小さな事に心を配って過ちの無いように用心すべきである。人は謀(はかりごと)を好むが、成功するかどうかは天のみが知る。大事を成そうとする人は、必ず天地・神仏をお祭りして、そのご加護を得るべきである。
○人に捕らえられて自由に動くことができず、困窮して苦しむ。
○謙譲の心と畏れ慎む心を常に抱けば、問題は降りかかってこない。
○両(もろ)刃(は)の剣の形。血を見る象(かたち)もある。

九二 ‥―― ――‥ (澤風大過)之卦 三一澤山咸
九二。枯楊生稊。老夫得其女妻。无不利。
○九二。枯(こ)楊(よう)稊(ひこばえ)を生(しよう)ず。老(ろう)夫(ふ)、其(そ)の女(じよ)妻(さい)を得(う)。利(よろ)しからざる无(な)し。
 九二は陽爻陰位で中庸の德を具えており、比する初六と相親しんでいる。陰柔初六の潤(うれ)い(慎む心)に助けられて、枯れた柳(九二の例え)に新芽(初六の例え)が芽生えるように生き返る。老いた男(九二)が若い妻(初六)を娶(めと)ったのである。
 若い妻(初六の例え)を娶(めと)れば、老いた男(九二の例え)の精気も回復してやがて子供も生まれるであろう。悪かろうはずがない。
象曰、老夫女妻、過以相與也。
○象に曰く、老(ろう)夫(ふ)女(じよ)妻(さい)は、過ぎて以(もつ)て相(あ)い與(くみ)する也。
 小象伝は次のように言っている。老いた男(九二の例え)が若い女(初六の例え)を娶(めと)るのは、常識的には年齢がひらき過ぎているが、陰陽和合して子供が生まれ、家系を絶やさないので、誠に宜しいことなのである。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)剛の性質を有して、柔の性質を有する初六と比している。自分が有する剛の性質で相手の性質を補う時である。勢い盛んな者が衰えている者を助け、人間関係を良好にする(社会を調和させる)。良好な社会となって、誠に宜しい時である。大きな心配事があって、一度は衰退したことでも、年下の良き友を得て、再び運氣を挽回する。若い女を(嫁として)家に入れる時である。
○老いた男でも、妻を向かえれば、子供ができるかもしれない。
○老いた男が若い妻を娶り、美しさに溺れて健康を害する。慎むべきである。
○老いた人を若い人が助ける時である。

九三 ‥―― ――‥ (澤風大過)之卦 四七澤水困
九三。棟橈。凶。
○九三。棟(むなぎ)橈(たわ)む。凶。
 九三は陽爻陽位の過ぎたる不中ゆえ、倒壊の危機にある大過の時において剛に過ぎる。一方、正応上六は陰爻陰位で柔に過ぎて、剛に過ぎる九三を補佐することができない。建物の棟(むな)木(ぎ)が撓(たわ)んで今にも折れそうである。もはや、危機的な状況に陥るしかない。
象曰、棟橈之凶、不可以有輔也。
○象に曰く、棟(むなぎ)橈(たわ)むの凶は、以(もつ)て輔(たすけ)有る可(べ)からざる也。
 小象伝は次のように言っている。剛に過ぎる九三は、建物の棟(むな)木(ぎ)が撓(たわ)んで今にも折れそうな危機的な状況に陥る。陽爻陽位で過ぎたる不中の九三が力に任せて事を行うので、誰の助けも得られない(正応上六は陰爻陰位で柔に過ぎて、剛に過ぎる九三を補佐することができない)からである。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)剛強な性質で天下の豪傑と自負し、諫言や忠告を受け入れない。独自の判断で大事業に取り組むが、精力が尽き果てて、名声や資産を失う。私利私欲から離れて、智恵を過信せず、世の中から隠遁すれば、人災を免れることができる。
○社会的に役に立つ地位に在り、何事にも剛(つよ)い気持ちで立ち向かう。君子と対決して、自ら人災を招く。
○無理して志を実現しようとすれば、大きな困難に陥る。困難に立ち向かう責任に耐えられず、家を滅ぼすなどの人災を招く。
○心が迷って心身とも苦しむ。思慮によって進むべき方向を誤る。
○価値観の食い違いで、喧嘩に発展する。慎むべし。
○お金を使い尽くして、転落に向かう。 ○不遜(傲慢)に過ぎる。