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易経(周易)を読み解く 百十五(火地晋 四五上)

九四 ―‥― ‥‥‥(火地晉)之卦 二三山地剝
九四。晉如鼫鼠。貞厲。
○九四。晉(しん)如(じよ)たり、鼫(せき)鼠(そ)なり。貞(てい)なれども厲(あやう)し。
 偉大な明德を備えた六五の天子(トップ)に、柔順な臣下が柔順に従う晉の時にあって、九四は六五の天子(トップ)と臣下の間を隔てようとする不心得者である。不心得者の九四が大臣(側近・ナンバーツー)の位に居て、柔順な家臣達(下卦三陰)が六五の天子(トップ)に付き従おうとするのを阻(はば)み、上下の間を隔(かく)絶(ぜつ)しようとするのである。
 昼は隠れて夜悪事を働く大(おお)鼠(ねずみ)のように国家を蝕(むしば)む賊臣である。それゆえ、善いことをしても誰にも評価されず、身を滅ぼして家を喪(うしな)うほど危険な状態に陥るのである。
象曰、鼫鼠貞厲、位不當也。
○象に曰く。鼫(せき)鼠(そ)、貞なれども厲(あやう)しとは、位(くらい)當(あた)らざれば也。
 小象伝は次のように言っている。九四が身を滅ぼして家を喪うほど危険な状態に陥る。六五の天子(トップ)を補佐する側近の位(くらい)に居ながら、その職務に背(そむ)くからである。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)天子の側近でありながら、天子の立場を危うくする存在である。自分の考え方を転換させなければならない。自分では良いと思っていても、知らず識らずにに悪い方向に流れてしまう時である。
○父母に苦労をかけたり、父母を心配させたりする時である。
○知らず識らずに高慢になって、自分の地位が危なくなっていることに気が付かない時である。
○智恵があることが災いして、自信過剰になりやすい時である。

六五 ―‥― ‥‥‥(火地晉)之卦 十二天地否
六五。悔亡。失得勿恤。往吉无不利。
○六五。悔(くい)亡ぶ。失(しつ)得(とく)恤(うれ)ふる勿(なか)れ。往(ゆ)けば吉、利(よろ)しからざる无(な)し。
 柔中の德を有する六五の天子(トップ)は、上卦離(明智・明德)の主爻として、大いに明らかな明智・明德を有する組織のトップである。下卦坤の家臣達に慕われているので、不正(陰爻陽位)で悔いることはなくなる。だが大いに明らかな明智・明德を有するが故に自分を慕っている家臣を全面的に信頼しきれないところがある。
 失得(失うことと得ること)を憂えて家臣を信頼できないようでは、トップとしての器が問われる。失得に憂えることなく家臣を信頼して委任すべきである。家臣に委任して事を進めれば幸運を招き寄せる。不利になるようなことは何一つない。
象曰、失得勿恤、往有慶也。
○象に曰く、失得恤ふる勿れとは、往きて慶び有る也。
 小象伝は次のように言っている。失得に憂えることなく家臣を信頼して委任すべきである。家臣に委任して事を進めれば、大いに功績を上げてみんなに喜ばれるからである。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)明智と中庸の徳を具えている人物。心配事があっても気にすることはない。やがて心配事は解消して、幸福を招き寄せる。
○発展・発達する兆しが見える時。明智を用いて観察すべし。
○寛大に(ゆったりと)、事を成し遂げられる時である。
○何事も功績や利益を求める気持ちがなければ、自然と順調に進んで、事を成し遂げられる。

上九 ―‥― ‥‥‥(火地晉)之卦 十六雷地豫
上九。晉其角。維用伐邑。厲吉无咎。貞吝。
○上九。其の角(つの)に晉(すす)む。維(こ)れ用(もつ)て邑(むら)を伐(う)つ。厲(あやう)けれども吉にして咎(とが)无(な)し。貞(てい)なれども吝(りん)。
 上九は六三と応じており六五に比している。卦の最上に居るから動物の体の一番上に在る角(つの)に喩(たと)えられる。晉は進み行く時である。その極点に居る上九は進み過ぎて中庸を失した危ない存在である。進み過ぎる力を用いて六五の君命に順い六三と力を合わせて不心得者九四の内乱を討伐すれば、危険はあるが道を違えることはない。
 九四の内乱は、治国に問題があったからである。討伐したこと自体正しくとも、上九は六五の天子(トップ)の治国に関する相談役なので、恥ずかしい話である。
象曰、維用伐邑、道未光也。
○象に曰く、維(こ)れ用(もつ)て邑(むら)を伐つとは、道未(いま)だ光(おおい)ならざる也。
 小象伝は次のように言っている。上九が不心得者九四の内乱を討(とう)伐(ばつ)するのは、六五の德治が未だ広大ではなく、普(あまね)く天下に行き渡っていないからである。
 上九は六五の治国に関する相談役なので、六五の德治が未だ広大ではない責任の一旦は上九の相談役としての役割が未だ十分に発揮されていないことにある。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)道德を修めて、言行をよく反省し、過ちを犯さないように気を付ける時。家庭においてはよく子供を教え導き、使用人を大切にする。仕事においては私的な言行は慎み、職務に専念すべきである。
○ただ真っ直ぐに進むばかりで、他人のちょっとした誤りを許さない偏屈なところがある。包容力がなく、ちょっとしたことに一喜一憂して、失敗することがある。馬鹿正直な理屈屋で、親友や先輩であも、理屈に合わないことは拒否してしまう。そのような頑(かたく)なな態度は慎むべきである。
○怒りにまかせて、人が離れて行く時。
○家族を教え導くことは善いことだが、厳し過ぎると逆効果となる。