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易経(周易)を読み解く 百五一(澤水困 四五上)

九四 ‥―― ‥―‥ (澤水困) 之卦 二九坎為水
九四。來徐徐。困于金車。吝有終。
○九四。來(きた)ること徐徐たり。金(きん)車(しや)に困しむ。吝(りん)。終(おわり)有り。
 陽剛不正(陽爻陰位)で詰めが甘い九四の大臣(側近)は初六と応じている。だが、初六は六三と共に九二の君子を揜(おお)っている小人なので、初六に助けを求められても、助けるべきかどうか躊躇する。そして、九二の君子は自分を揜(おお)っている初六を九四が助けようとすることを阻止するので、九四はさらに困惑・困窮する。九四の態度は優柔不断で君子として恥ずかしいけれども、やがて初六が改心すれば、快く手をさしのべることができる。
象曰、來徐徐、志在下也。雖不當位、有與也。
○象に曰く、來ること徐徐たりとは、志下に在る也。位に當らずと雖(いえど)も、與(くみ)するもの有る也。
 小象伝は次のように言っている。初六に助けを求められても九四は助けるべきかどうか躊躇する。初六が九二の君子を揜っている小人だから躊躇するのである。やがて初六が改心すれば、九四は快く初六に手をさしのべることができるのである。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)入ってくるはずのお金が入ってこない。運転資金に苦しみ、恥ずかしい思いをする。自分のうかつさを反省する時である。
○意外な人に、何かを依頼することになる時である。
○会社の重役として、時流に乗れずに、困苦する時である。
○上位の人が下位の人に合わせて変化すれば、物事が成就する。
○隠居を願う時である。

九五 ‥―― ‥―‥ (澤水困) 之卦 四十雷水解
九五。劓刖。困于赤紱。乃徐有説。利用祭祀。
○九五。劓(ぎ)刖(げつ)す。赤(せき)紱(ふつ)に困(くる)しむ。乃(すなわ)ち徐(おもむ)ろに説(よろこび)有り。用て祭(さい)祀(し)するに利(よろ)し。
 剛健中正の天子(トップ)九五は、険阻艱難な困の時を救うべく小人共を退け去ろうとするが、上(上六)に鼻斬りの刑を、下(六三と初六)に足斬りの刑を執行されるような困難に揜(おお)われ八方塞がりである。九二の君子を任用しようとするが、小人共に阻まれて困窮する。やがて九五と九二の萬民に安寧を施そうとする德が相応じて小人共を退け去るので、萬民は大いに喜ぶ。祖先をお祀りするように、至誠の心で対処する(九二を抜擢任用する)が宜しい。
象曰、劓刖、志未得也。乃徐有説、以中直也。利用祭祀、受福也。
○象に曰く、劓(ぎ)刖(げつ)すとは、志未だ得ざる也。乃(すなわ)ち徐(おもむ)ろに説(よろこび)有りとは、中直なるを以て也。用て祭祀するに利しとは、福(さいわい)を受くる也。
 小象伝は次のように言っている。九五は困難に揜(おお)われ八方塞がりで、天子(トップ)の志を実現できないが、九二と同德相応じて(九二を抜擢任用して)小人共を退けるので萬民は喜ぶ。九五が中庸の德で時に中ったからである。祖先をお祀りするように対処(九二を抜擢任用)すれば、終には天から幸福を授かるのである。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)商人の場合は、資金も商品も乏しいので、世間の信用を失って困窮極まるが、世間から信用の厚い正直な番頭がいる。
主人と番頭が力を合わせれば、困難から脱出して共に喜ぶ時である。
○困は厄年に該当する時。何事も正直を貫いて、世間から信用されるように心がけ、よく勉強に励んで、精を尽くして仕事をする。
その上で、神仏に祈って幸福を招き寄せる努力が必要である。

上六 ‥―― ‥―‥ (澤水困) 之卦 六天水訟
上六。困于葛藟臲卼。曰動悔。有悔往吉。
○上六。葛(かつ)藟(るい)に臲(げき)卼(ごつ)に困(くる)しむ。曰(いわ)く動けば悔(く)ゆと。悔ゆる有りて往けば吉。
 上六は陰柔不中でやり過ぎる性格の小人である。険阻艱難な困の時の極点で進退に困しんでいる(動こうとすれば六三の小人に突き上げられて苦しみ、止まろうとすれば九五の君子に突き上げられて苦しんでいる)。「小人がいつまでも君子を阻み続ければ後悔するぞ」と自戒するが宜しい。自らを悔い改めて行動すれば、険阻艱難な困の時から抜け出して、幸運を招き寄せることができる。
象曰、困于葛藟、未當也。動悔、有悔吉、行也。
○象に曰く、葛(かつ)藟(るい)にしむとは、未(いま)だ當(あた)らざる也。動けば悔(く)ゆと悔ゆる有るは、吉(きつ)にして行く也。
 小象伝は次のように言っている。上六は険阻艱難な困の時の極点で進退に困しんでいる。未だ困の時に対処する道を覚(さと)ることができないからである。
 「小人がいつまでも君子を阻み続ければ後悔するぞ」と自戒して、悔改めて行動すれば、険阻艱難な困の時から抜け出せる。君子の道に従って行くからである。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)自分の身を高い所に置き、人々から指さされて攻撃される。色々と厄介な出来事が多く、世俗の事に関して困苦する。
○身を転ずれば(転職や転居などを行えば)苦労から逃れて、吉運を招き寄せる。
○商人の場合は、見込み違いで損するが、損したことを諦めて、大胆に方向転換すれば、終には吉運を招き寄せる。
○困窮している最中で、どんなに言葉を飾り立てても、人はその言葉を信じてくれない。逆に疑いが増すことなる。慎むべきである。
○富裕な人が困苦して家屋敷を売却し、全てを失うが、自分の身と命を保つための企画は実現する。
○妻は夫に背き、部下(社員)は上司(社長)に背く時。
○自らの間違いを自覚して、過ちを改める時。
○危ない(怪しい)動きの状態の中に置かれる。