毎日連載! 易経を中心に日本の心に関する情報を毎日アップしています。

超釈古事記 八俣の大蛇退治 二

2021年7月11日

【書き下し文】
爾(しか)くして速(はや)須佐之男の命、其(そ)の老夫(おきな)に、「是(こ)の汝(な)が女(むすめ)は吾(あ)に奉(たてま)つらん哉(や)」と、詔(の)りたまひき。答えて、「恐(かし)し、また御(み)名(な)を覺(し)らず」と白(まを)しき。爾(しか)くして答えて、「吾(あ)は天照大御神のいろせなり。故(かれ)、今天(あめ)より降(くだ)り坐(ま)しぬ」と詔(の)りたまひき。爾(しか)くして足(あし)名(な)椎(づち)、手(て)名(な)椎(づち)の神、「然(しか)坐(ま)さば恐(かしこ)し、立(たて)奉(まつ)らん」と白(まを)しき。爾(しか)くして速(はや)須佐之男の命、湯(ゆ)津(つ)爪(つま)櫛(くし)に其(そ)の童女(おとめ)を取り成して御(み)みづらに刺し、其(そ)の足(あし)名(な)椎(づち)、手(て)名(な)椎(づち)の神に、「汝(なれ)等(ども)、八(や)鹽(しお)折(おり)の酒を釀(か)み、また、垣(かき)を作り迴(めぐら)し、其(そ)の垣(かき)に八つの門を作り、門毎(ごと)に八つのさづきを結(ゆ)い、其のさづき毎(ごと)に酒(さか)船(ぶね)を置きて、船毎(ごと)に其(そ)の八(や)鹽(しお)折(おり)の酒を盛(も)りて待(ま)て」と告(の)りたまひき。故(かれ)、告(の)りたまひし隨(まにま)に如(か)此(く)設(もう)け備(そな)えて待つ時に、其(そ)の八俣のおろち、信(まこと)に言(こと)の如(ごと)く來(き)て、乃(すなわ)ち船毎(ごと)に己(おの)が頭(かしら)を垂(た)れ入れ其(そ)の酒を飮みき。是(ここ)に飮み醉(よ)い留(とどま)り伏(ふ)して寢(い)ねき。爾(しか)くして速須佐之男の命、其(そ)の御(み)佩(はか)せる十(と)拳(つか)の劔(つるぎ)を拔きて其(そ)の蛇(おろち)を切り散(ちら)ししかば、肥(ひ)の河(かわ)血(ち)に變(な)りて流れき。故(かれ)、其(そ)の中の尾を切りし時、御(み)刀(はかし)の刄(は)毀(こぼ)れき。爾(しか)くして怪(あや)しと思いて御(み)刀(はかし)の前(さき)を以(も)ちて刺(さ)し割(さ)きて見れば、都(つ)牟(む)刈(がり)の大刀(たち)在(あ)り。故(かれ)、此(こ)の大(た)刀(ち)を取りて、異(け)しき物と思いて、天照大御神に白(まを)し上(あ)げき。是(これ)は草(くさ)那(な)藝(ぎ)の大(た)刀(ち)なり【那藝の二字は音】。

〇通釈
 八岐大蛇の姿形を聞いた須佐之男命はお爺さんに向かって「ならば、貴方の娘さんをお嫁さんとしてわたしにくれないか」と唐突に聞いた。お爺さんは「それは畏れ多いことですが、わたしはまだ貴方の名前すらお聞きしておりません」と言った。すると、須佐之男命は「わたしは天照大御神の弟である。今、高天原から降りてきたところだ」と答えた。するとお爺さんとお婆さんは「それはそれは何と畏れ多いことでございましょう。是非、娘をもらってください」と喜んだ。
 すると、須佐之男命はその娘の姿を神聖な爪の形をしている櫛に変えて、自分の髪に挿して、お爺さん(足(あし)名(な)椎(づち))とお婆さん(手(て)名(な)椎(づち))に、「あなた方は八回醸造したアルコール度数の強いお酒を用意してください。そして、垣根をグルリと巡らせて、そこに八つの穴を開け、穴ごとに台を置き、その上にお酒を入れる器を載せて、その器に用意したアルコール度数の強いお酒を溢れるほどに盛って、しばらく待っていなさい」と言った。
お爺さんとお婆さんは言われた通りに準備して待っていると、お爺さんが言っていた通りの姿(すがた)形(かたち)の八岐大蛇がやって来て、お爺さんとお婆さんが用意したお酒を入れる器に顔を突っ込んで、アルコール度数の強いお酒を飲み干した。そして、あっという間に酔っ払いグーグーと寝てしまったのである。
 八岐大蛇が酔っ払うのを待っていた須佐之男命は、腰に指している長剣を抜いて、八岐大蛇をズタズタに切り刻んだところ、大量の血が斐伊川に流れ込んで、川の水は真っ赤に染まった。須佐之男命が八岐大蛇の尻尾を切り刻んでいる時、何か手応えがあり、長剣の刃が欠けてしまった。不思議に思って刺した長剣を抜いて中を覗き込むと、神々しい剣があった。須佐之男命がこの剣を取り出して見ると、何とも希有な剣なので、自分で使うのは畏れ多いことだと感じた。
 そこで、この剣を天照大御神に献上することにしたのである。この剣は後に草薙剣と呼ばれるようになり、皇位の印である三種の神器の一つとなった。

〇超釈
 八岐大蛇の姿形を聞いた須佐之男命は、八岐大蛇を退治すれば氾濫は収まり、この娘さんをお嫁さんとして迎え入れれば、伊邪那岐の命から授かった天命である日本の国土開拓を継承してくれる子孫を産んでくれるだろうと思った。そこで、お爺さんに「ならば、貴方の娘さんをお嫁さんとしてわたしにくれないか」と唐突に聞いた。お爺さんは「それは畏れ多いことですが、わたしはまだ貴方の名前すらお聞きしておりません」と言った。すると、須佐之男命は「わたしは天照大御神の弟である。今、高天原から降りてきたところだ」と答えた。するとお爺さんとお婆さんは「それはそれは何と畏れ多いことでございましょう。是非、娘をもらってください」と喜んで承知してくれた。
 須佐之男命はその娘の姿を神聖な爪の形をしている櫛に変えて、自分の髪に挿して、お爺さん(足(あし)名(な)椎(づち))とお婆さん(手(て)名(な)椎(づち))に、「あなた方は八回醸造したアルコール度数の強いお酒を用意してください。そして、垣根をグルリと巡らせて、そこに八つの穴を開け、穴ごとに台を置き、その上にお酒を入れる器を載せて、その器に用意したアルコール度数の強いお酒を溢れるほどに盛って、しばらく待っていなさい」と命じた。
お爺さんとお婆さんは言われた通りに準備して待っていると、お爺さんが言っていた姿形の八岐大蛇がやって来て、お爺さんとお婆さんが用意したお酒を入れる器に顔を突っ込んで、アルコール度数の強いお酒を飲み干した。そして、あっという間に酔っ払いグーグーと寝てしまったのである。
 八岐大蛇が酔っ払うのを待っていた須佐之男命は、腰に指している長剣を抜いて、八岐大蛇をズタズタに切り刻んだところ、大量の血が斐伊川に流れ込んで、川の水は真っ赤に染まった。須佐之男命が八岐大蛇の尻尾を切り刻んでいる時、何か手応えがあり長剣の刃が欠けてしまった。不思議に思って刺した長剣を抜いて中を覗き込むと、神々しい剣があった。剣を大蛇の尾から取り出して見ると、何とも希有な剣なので、自分で使うのは畏れ多いことだと感じた。そして、この剣が恐るべきパワーとなって大蛇を動かし、毎年のように斐伊川を氾濫させたのだろう。きっと、この剣には持ち主の思想を体現する力があるに違いないと確信した。そこで、天照大御神に献上しようと思い立った。この剣を天照大御神に献上すれば、この剣のパワーを使って天照大御神の「知らす(萬物を思いやる)思想」を体現し、わたしの天命である日本の国土開拓も成功するに違いないと考えたのである。
 そして、この剣は後に草薙剣と呼ばれるようになり、皇位の印である三種の神器の一つとなった。