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超釈古事記 五穀の起源

2021年7月9日

五穀の起源

【書き下し文】
又、食(くらひ)物(もの)を大(おお)氣(げ)都(つ)比(ひ)賣(め)の神に乞(こ)ひき。爾(しか)くして大(おお)氣(げ)都(つ)比(ひ)賣(め)、鼻、口と尻より種(くさ)種(ぐさ)の味(うまし)物(もの)を取り出だして、種(くさ)種(ぐさ)に作り具(そな)えて進(たてまつ)る時に、速(はや)須佐之男の命、其(そ)の態(わざ)を立ち伺(うかが)い、穢汚(けが)して奉進(たてまつ)ると爲(おも)いて乃(すなわ)ち其(そ)の大(おお)氣(げ)都(つ)比(ひ)賣(め)の神を殺(ころ)しき。故(かれ)、殺されし神の身に生(な)りし物は、頭に蠶(かいこ)生(な)り、二つの目には稻(いな)種(だね)生り、二つの耳には粟(あわ)生り、鼻に小豆(あずき)生り、陰(ほと)に麥(むぎ)生り、尻(しり)に大(だい)豆(ず)生りき。故(かれ)、是(ここ)に神(かむ)産(む)巣(す)日(ひの)御(み)祖(おや)の命(みこと)、茲(こ)の成れる種(たね)を取らしめき。

〇通釈
 天罰によって高天原を追放された須佐之男命は、その罪を贖って伊邪那岐の命に授かった天命(海原=日本を知らせ=日本のことを思いやって国土を開拓せよ)に従うため出雲国に向かった。その途中お腹が減ったので穀物の神様である大(おお)氣(げ)都(つ)比(ひ)賣(め)の神に食事を用意してほしいとお願いした。すると、大(おお)氣(げ)都(つ)比(ひ)賣(め)は、自分の鼻や口、そしてお尻から様々な種類の食材を産み出し、様々な技術を駆使して調理し、須佐之男命にお出ししたところ、須佐之男の命は、穀物の神様である大(おお)氣(げ)都(つ)比(ひ)賣(め)が鼻や口、そしてお尻から食材を産み出したことを汚い行為だと思い込み激怒して、大(おお)氣(げ)都(つ)比(ひ)賣(め)の神を殺(ころ)してしまったのである(穀物の神様が自分の身体から食材を産み出すのは自然なこと)。
 すると、殺された大(おお)氣(げ)都(つ)比(ひ)賣(め)の神の身体から次々と食材が産まれてきた。頭からはに蠶(かいこ)が産まれ、二つの目からは稲が生まれ、二つの耳からは粟(あわ)が産まれ、鼻からは小豆(あずき)が産まれ、陰(ほと)からは麥(むぎ)が産まれ、尻(しり)からは大(だい)豆(ず)が産まれた。これらの食材を種として再生させたのは、天地を創造した造化参神の中の陰の神様である神(かむ)産(む)巣(す)日(ひの)御(み)祖(おや)の命(みこと)である。萬物を産み出すことがその役割である神産巣日神が大(おお)氣(げ)都(つ)比(ひ)賣(め)の神から産まれ出た食材を種として再生させたのである。

〇超釈
 自ら天罰を下して、高天原を離れて、伊邪那岐の命から授かった天命(日本のことを思いやって国土を開拓せよ)を実行するために、出雲国に向かった須佐之男命は、その途中で出雲国の国土を開拓する際の基盤整備となる農業の普及を行うに中って、農産物の種をどのように手に入れたらよいかを穀物の神様である大(おお)氣(げ)都(つ)比(ひ)賣(め)の神に相談した。
 大(おお)氣(げ)都(つ)比(ひ)賣(め)の神は、「お疲れのようだからまずはお食事を召し上がってください」と、自分の鼻や口、そしてお尻から様々な種類の食材を産み出し、様々な調理技術を駆使した料理を須佐之男命にお出しした。
 そして、驚くことに、次のように言ったのである。「わたしにも出雲の国づくりのお手伝いをさせてください。出雲国を開拓するためのは農業の普及が欠かせません。農業を普及するためには農産物の種が必要です。そのために、わたしを殺してください。わたしが死ねばわたしの身体中の穴から農業の普及に必要な農産物が産み出されます。その農産物を陰の神様である神産巣日神にお願いして種として再生させてください。そして、その種を持って出雲国に向かってください」。
 それを聞いた須佐之男命は、大(おお)氣(げ)都(つ)比(ひ)賣(め)の崇高な志に感謝し、涙を堪(こら)えながら大(おお)氣(げ)都(つ)比(ひ)賣(め)の神を殺したのである。そして、天地を創造した造化参神の中の陰の神様である神(かむ)産(む)巣(す)日(ひの)御(み)祖(おや)の命(みこと)に依頼して、亡くなった大(おお)氣(げ)都(つ)比(ひ)賣(め)の神から産まれ出た様々な食材を種として再生してもらったのだ。