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易経(周易)を読み解く 九六(坎為水 全体)

二九 坎(かん)為(い)水(すい) ‥―‥坎水 ‥―‥坎水
互卦 二七山雷頤  綜卦 同  錯卦 三十離爲火
習坎、有孚。維心亨。行有尚。
○習(しゆう)坎(かん)は孚(まこと)有り。維(こ)れ心(こころ)亨(とお)る。行(ゆ)きて尚(たつと)ばるる有り。
 習(しゆう)坎(かん)は険(けん)阻(そ)艱(かん)難(なん)が重なった時。君子(一陽・九二と九五)が小人(二陰・六三・初六と上六・六四)に挟(はさ)まれて、二(につ)進(ち)も三(さつ)進(ち)も行かないのである。けれども、真ん中(一陽・九二と九五)には至誠の心が充実している。
 険(けん)阻(そ)艱(かん)難(なん)な時に対処するには、何事にも動揺することなく、心(こころ)泰(たい)然(ぜん)と素行自得して、志(天命)を貫徹するしかない。険(けん)阻(そ)艱(かん)難(なん)に畏(い)縮(しゆく)して、じっと止(とど)まっていても何も変わらない。奮い立って果敢に行動するから険(けん)阻(そ)艱(かん)難(なん)を克服し、人から尊敬されるのである。

彖曰、習坎、重險也。水流而不盈、行險而不失其信。維心亨、乃以剛中也。行有尚、往有功也。天險不可升也。地險山川丘陵也。王公設險、以守其國。険之時用大矣哉。
○彖に曰く、習坎は重(ちよう)險(けん)也。水は流れて盈(み)たず、險を行きて其の信を失わず。維(こ)れ心(こころ)亨(とお)るとは、乃ち剛中を以て也。行きて尚ばるる有りとは、往きて功有る也。天險は升(のぼ)る可(べ)からざる也。地險は山(さん)川(せん)丘(きゆう)陵(りよう)也。王(おう)公(こう)、險を設け以て其(そ)の國(くに)を守る。険の時(じ)用(よう)、大(だい)なる哉(かな)。
 彖伝は次のように言っている。習坎は険阻に険阻、艱難に艱難が重なる険阻艱難な時である。坎水はつかえることなく流れ、一箇所に止まっていないから、満ちても溢れることがない。石にぶつかり、岩に遮(さえぎ)られ、紆余曲折して、終には大(たい)海(かい)に至るのである。
 険阻艱難な時に対処するに、何事にも動揺することなく、心泰然と素行自得して志(天命)を貫徹する。君子(九二と九五)が剛健中庸の德を具えているのである。険阻艱難に奮い立って果敢に行動するからこそ、人から尊敬されるのである。至誠の心で果敢に行動すれば必ずや険阻艱難を克服し、大衆の信頼を得て大事を成し遂げる。
 天が命じた艱難辛苦は天の道ゆえ、如(いか)何(ん)ともすることはできない。大地に聳(そび)え立つ艱難辛苦は山(さん)川(せん)丘(きゆう)陵(りよう)が自然に存在しているように避けて通ることはできない。君主は城の周りに高い城壁を築き、堀で囲んで兵士を配置し、外敵の侵略に備えるのである。德治を施して道德心を高め、礼制を広めて秩序を保ち、国を守り民を安心させるのである。
 険阻艱難な時に果敢に立ち向かって行く姿は、何と偉大なことであろうか。

象曰、水洊至習坎也。君子以常德行、習教事。
○象に曰く、水洊(しき)りに至るは習坎也。君子以て德行を常にし、教事を習(かさ)ぬ。
 小象伝は次のように言っている。坎は水。水は流れ流れて止(や)むことがない。ありとあらゆる障害や険阻艱難に耐えて大海に至る。山頂に湧き出て大海に至り、山頂に湧き出て大海に至る、絶えざる水の流れが習坎の形である。
 君子はこの絶えざる水の流れる形とありとあらゆる障害や険阻艱難に耐える性質を手本として、常に德(とつ)行(こう)(仁德を磨くために陰德を積み上げていくこと)を重ねて己を磨き、懇(こん)切(せつ)丁(てい)寧(ねい)に反復(凡事徹底)して民(たみ)を教え導く(人々の手本となる)のである。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)運氣が極まって艱難に遭遇する時。だが、艱難について、よく冷静に考えれば、世の中のことや人情の機微について知ることができるチャンスである。水が器の形に自然と従うように、抵抗しないで五爻の時に至れば、艱難は自然と去って行く。それまでは、只管(ひたすら)辛抱して、時を待つべし。
決して、狼狽してはならない。策を講じて逃げようとしてはならない。狼狽して策を講ずれば、心は萎えて、身体は疲れ切り、終には困苦に押し潰される。これは、艱難に処する道ではない。
艱難は己の心を磨くためにある。辛抱を心棒に育てる時である。この時ばかりは、何をやってもどうにもならない。吉運から見放された時。ありとあらゆる災難に見舞われる時である。何事も懼れ慎んで、神様仏さまにお祈りするしかない。あなたに信用があっても、閉塞状態に陥り、あなたの理屈が正しくても、どん底に陥る時である。
○とっても悲劇的な象(かたち)をしている。
○住んでいる処(住居)が安定しない時である。
○浮き沈みが多い時である。 ○苦労が多い時である。
○上卦の各爻は、昔淫(みだ)らな行いをしていた。下卦の各爻は、今淫らな行いをしている。
○人事を占ってこの卦が出たら、君子は世のこと人のことを心配し、小人は自分が困難に陥ることを心配する。
○砲台を建築するという象(かたち)。 ○盗難に遭い、病気に罹る時。
○陥る時である。 ○険しい時である。 ○溺れる時である。
○君臣(社長と社員、上司と部下)の関係が調和しないで、共に困難に苦しむ。 ○二人とも命を捨てる時。
○家族(や組織)の意見が二つに分かれて、調和することが難しい時。
○理屈で動いて、理屈から外れる時。 ○物価は下落する。