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人生に役立つ易経 風雷益

家庭においては、両親にある程度の金銭的な余裕がなければ、子供のお小遣いを上げることはできない。会社においては、会社の財政状態が健全でなければ、従業員の賞与を増やすことはできない。国家においては、国家の財政状態が良好でなければ減税することはできない。これらの条件が整っているからこそ、風雷益の物語は成立するのである。
 国家には通貨発行権があるので、インフレ懸念がなければ、無制限に通貨を発行しても問題ないとするMMT理論を採用することなく、赤字国債は発行すべきではないというプライマリーバランスを前面に掲げて、国債の発行を抑制する日本政府の財政運営では、。上(上卦)が損して(陽爻が減って)、下(下卦)が得する(陽爻が増える)風雷益の政策を実施することはできない。
 それゆえ、上だけ得して下が損し続ける状態が三十年の続いて、かつて経済大国と称された日本は、発展途上国にも及ばない経済劣等国に成り下がったのである。

 以上が風雷益の概要である。
 ここから先は原文(漢文と書き下し文)を示した上で、初心者でも理解できるように意訳していく。

益、利有攸往。利渉大川。
○益は、往(ゆ)く攸(ところ)有るに利し。大(たい)川(せん)を渉(わた)るに利(よろ)し。
 益は上(外)を減らして下(内)を益すれば(親が子どもを養育したり、政府が減税したりすれば)、結果的に全体を益する(下が益すれば全体が安定する)時である。
 大事業を為し遂げるために積極的に進み往く(事業に取り組む)が宜しい。冒険しても(勇気を出して危険があることに取り組んでも)大丈夫である。心配することは何もない。以下省略。