天雷无妄は天地の道が人の道を翻弄する時である。天地の道は人間の是非善悪を超えた生命エネルギーの継続的な活動である。それは、人間にとって大災害として現れる時もあり、僥倖(思いがけない幸運)として現れる時もある。小賢しい人間の知恵が通じない時であり、小賢しい智恵で対処すれば返って災難を招き寄せる。すなわち、天災から人災が発生して被害が拡大する。
天雷无妄☰☳は、天地否☰☷初爻の陰陽が反転した卦(之卦)である。天地否は衰運の流れの真ん真ん中で物事が閉塞逼迫して二進も三進も行かない時である。日本社会に例えるならば、消費税率を八%から十%に上げてデフレが悪化し終わりの見えない不況に陥った令和元年の翌年(令和二年)に中る。
令和二年の年初に日本のみならず世界中を震撼させた天災が新型コロナウイルスであった。そしてこれこそ天雷无妄である。
先に天雷无妄に小賢しい智恵で対応すれば、返って災難を招き寄せると書いたが、新型コロナウイルスに対する国民や日本政府の対応がそれであった。あの時一番最初に起こった社会的パニックがマスク不足である。マスメディア等の情報に煽られた大衆がドラッグストアに殺到して、アッという間に店頭からマスクが消滅した。そして、未だに(令和五年二月現在)室内においてはマスク着用が半強制的に義務付けられている。
だが、小賢しい智恵で対応したのは国民だけではない。むしろ日本政府の対応こそ典型的な小賢しい対応であった。
安全性に疑問のあるワクチンを海外の製薬会社から大量に買い付けて国民的に接種するように強制的に勧めた。だが、ワクチンはほとんど感染を予防する効果がなく、副作用で苦しむ人々が少なくなかった。しかも、政府はそのことをほとんど公表せずに、ワクチンとの因果関係を認めようともしない。それ以上に深刻なことはワクチンを接種し始めるようになってから、超過死亡数が激増したことである。超過死亡とは、一定の時期の想定されている死亡者数よりも、増えた死亡者の数をいう。
次に「Yahoo!ニュース」の記事を要約して転載する。
【「超過死亡が年間10万人以上で戦後最大」の謎…専門家「今、コロナ以外の急病人や急死者が増えている」
戦後最大規模となった超過死亡の原因として、「厳しい自粛生活」「運動不足」が可能性としてあり得るという指摘を見てきた。しかし一方で、もうひとつの「コロナ禍がもたらした大きな変化」が超過死亡の真の原因ではないか、と考える医療者も少なくない。】
筆者は「コロナ禍がもたらした大きな変化」とはワクチン接種ではないかと疑っており、同じ見方をする人は多い。
また、日本政府や各自治体は科学的には確たる根拠がないのに飲食店で感染が広がると流布したので、多くの飲食店が経営困難に陥り閉店した飲食店も少なくない。
いずれも、新型コロナウイルスという天災に対する日本政府や各自治体の小賢しい対応がとてつもない人災を発生させ事態を悪化させた。天雷无妄への対応を大きく誤って、国民を不幸のどん底へ突き落としたのである。
以上が天雷无妄の概要である。
ここから先は原文(漢文と書き下し文)を示した上で、初心者でも理解できるように意訳していく。以下省略。