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陰陽古事記伝 大年神の神裔

大(おお)年(とし)神(のかみ)の神(しん)裔(えい)

〇あらすじ
 須佐之男命の御子である大年の神の系譜が淡々と記述されている。

【書き下し文】
故(かれ)、其(そ)の大年(おおとし)の神、神(かみ)活(いく)須(す)毘(び)の神の女(むすめ)、伊怒比賣(いのひめ)を娶(めと)りて生みし子は、大(おお)國(くに)御(み)魂(たま)の神。次に韓(から)の神。次に曾富理(そほり)の神。次に白(しら)日(ひ)の神。次に聖(ひじり)の神【五柱の神】。又(また)、香用比賣(かよひめ)を娶(めと)りて生みし子は、大(おお)香(かが)山(やま)戸(と)臣(おみ)の神。次に御(み)年(とし)の神【二柱】。又(また)、天(あめの)知(ち)迦(か)流(る)美(み)豆(づ)比(ひ)賣(め)を娶(めと)りて生みし子は、奧(おく)津(つ)日(ひ)子(こ)の神。次に奧(おく)津(つ)比(ひ)賣(め)の命(みこと)、またの名(みな)は大(おお)戸(へ)比(ひ)賣(め)の神。此(これ)は諸人(もろひと)が以(も)ち拜(いつ)く竃(かま)の神なり。次に大山咋(おおやまくい)の神、またの名は山(やま)末(すえ)之(の)大(おお)主(ぬし)の神。此(こ)の神は近(ちか)つ淡(お)海(うみ)の國の日枝(ひえ)の山に坐(いま)し、また葛(かず)野(の)の松(まつの)尾(お)に坐(いま)して、鳴鏑(なりかぶら)を用いる神なり。次に庭(にわ)津(つ)日(ひ)の神。次に阿須波(あすは)の神。次に波比岐(はひき)の神。次に香(かぐ)山(やま)戸(と)臣(おみ)の神。次に羽(は)山(やま)戸(と)の神。次に庭(にわ)高(たか)津(つ)日(ひ)の神。次に大土(おおつち)の神、またの名は土(つち)之(の)御(み)祖(おや)の神。九(ここの)はしらの神。
上(かみ)の件(くだり)の大年(おおとし)の神の子、大(おお)國(くに)御(み)魂(たま)の神以(より)下(しも)、大土(おおつち)の神以(より)前(さき)は、并(あわ)せて十六(とおあまりむ)はしらの神。
羽(は)山(やま)戸(と)の神、大(おお)氣(げ)都(つ)比(ひ)賣(め)の神を娶(めと)りて生みし子は、若(わか)山咋(やまくい)の神。次に若年(わかどし)の神。次に妹(いも)若(わか)沙(さ)那(な)賣(め)の神。次に彌豆麻岐(みづまき)の神。次に夏(なつ)高(たか)津(つ)日(ひ)の神、またの名は夏(なつ)之(の)賣(め)の神。次に秋(あき)毘(び)賣(め)の神。次に久(く)久(く)年(とし)の神。次に久(く)久(く)紀(き)若(わか)室(むろ)葛(つな)根(ね)の神。
上(かみ)の件(くだり)の羽(は)山(やま)戸(と)の神の子、若山咋(わかやまくい)の神以(より)下(しも)、若室葛(わかむろつな)根(ね)以(より)前(さき)は、并(あわ)せて八(やつ)はしらの神。

〇通釈(超釈はない)
 須佐之男命と大山津見神の娘・神(かみ)大(おお)市(いち)比(ひ)売(め)の間に産まれた大(おお)年(とし)の神が、神活須毘(かみいくすび)の神の女(むすめ)である伊怒比賣(いのひめ)を娶って生んだ子は、大(おお)國(くに)御(み)魂(たま)の神である。その次に韓(から)の神、その次に曾富理(そほり)の神、その次に白(しら)日(ひ)の神、その次に聖(ひじり)の神が生まれた【以上、五柱の神】。また、香用比賣(かよひめ)を娶(めと)って生んだ子は、大(おお)香(かが)山(やま)戸(と)臣(おみ)の神である。そして、その次に御年(みとし)の神が生まれた【二柱】。また、天(あめの)知(ち)迦(か)流(る)美(み)豆(づ)比(ひ)賣(め)を娶(めと)って生まれた子は、奧(おく)津(つ)日(ひ)子(こ)の神である。次に生まれた子は奧(おく)津(つ)比(ひ)賣(め)の命(みこと)、またの名(みな)は大(おお)戸(へ)比(ひ)賣(め)の神。この神様は沢山の人々が祭り仕える竃(かま)の神である。次に生まれた子は大山咋(おおやまくい)の神、またの名は山(やま)末(すえ)之(の)大(おお)主(ぬし)の神である。この神は近江国の比叡山と葛(かず)野(の)の松(まつの)尾(お)に鎮座している鳴鏑(なりかぶら)の矢を持っている神である。次に生まれたのは、庭(にわ)津(つ)日(ひ)の神。次に阿須波(あすは)の神。次に波比岐(はひき)の神。次に香(かぐ)山(やま)戸(と)臣(おみ)の神。次に羽(は)山(やま)戸(と)の神。次に庭(にわ)高(たか)津(つ)日(ひ)の神。次に大土(おおつち)の神、またの名は土(つち)之(の)御(み)祖(おや)の神。以上、合わせて九(ここの)柱の神である。以上に記した大年(おおとし)の神が生んだ子は、大(おお)國(くに)御(み)魂(たま)の神から大土(おおつち)の神まで、并(あわ)せて十六(とおあまりむ)柱の神様である。また、先に記した羽(は)山(やま)戸(と)の神が、大(おお)氣(げ)都(つ)比(ひ)賣(め)の神を娶(めと)って生んだ子は、若(わか)山咋(やまくい)の神である。次に若年(わかどし)の神。次に妹(いも)若(わか)沙(さ)那(な)賣(め)の神。次に彌豆麻岐(みづまき)の神。次に夏(なつ)高(たか)津(つ)日(ひ)の神、またの名は夏(なつ)之(の)賣(め)の神。次に秋(あき)毘(び)賣(め)の神。次に久(く)久(く)年(とし)の神。次に久(く)久(く)紀(き)若(わか)室(むろ)葛(つな)根(ね)の神が生まれた。以上、列挙した羽(は)山(やま)戸(と)の神の子、若山咋(わかやまくい)の神から久(く)久(く)紀(き)若(わか)室(むろ)葛(つな)の神まで、合わせて八柱の神様である。