今、地澤臨☷☱の時がやってきた。一陽が二陽となり力が倍増した。業績も目に見えて上がっていき、その盛運の流れは今後暫く続く(地澤臨☷☱→地天泰☷☰→雷天大壮☳☰→澤天夬☱☰→乾為天☰☰)のである。
卦象から見ると、地澤臨☷☱を八卦に圧縮すると大きな震☳となる。震は陽爻が源動力となって全体を動かす時である。地澤臨は初爻と二爻が原動力となって全体を動かす時である。時代が大きく変化する中でベテラン(上卦☷)は身を引き、若い力(初爻と二爻)に事業を委ねる。初爻と二爻は存分に力を発揮して、事業は大きく伸びていく。幕末から明治維新に至る流れの中で、日本を近代化に導いた福沢諭吉を初爻、勝海舟を二爻に例えることができる。因みに、地澤臨初爻と二爻の爻辞に「咸臨す」とある。ここからあの「咸臨丸」が名付けられたのである。当時の武士達がよく易経を理解していたことが分かる。
以上が地澤臨の概要である。
ここから先は原文(漢文と書き下し文)を示した上で、初心者でも理解できるように意訳していく。
臨、元亨利貞。至于八月有凶。
○臨は、元(おおい)に亨(とお)る。貞(ただ)しきに利し。八月に至りて、凶有り。
臨は上(上卦坤☷)が下(下卦兌☱)に臨(のぞ)む時。権威を有する上の者が下の者に和らぎ悦び(下卦兌)柔順(上卦坤)に臨むから、何事もすらすら通る。正しい道を固く守るが宜しい。
陽剛君子の勢いが盛んに伸びて、やがて天下泰平(二地天泰)となるが、泰平を極めれば、小(しよう)人(じん)の勢いが増長(三澤天夬→四乾為天→五天風姤→六天山遯→七天地否→八風地觀と陰陽消長)するのである。以下省略。