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人生に役立つ易経 風地観

風地観の時は天地否よりも厳しい状況に置かれても将来に希望を持って進んで行くことができる。「咸臨丸」は地澤臨の言葉から命名した。咸臨丸は軍艦二号機である。軍艦一号機は「観光丸」と命名されている。明らかに風地観の「国の光を観る」が出典であろう。江戸時代の武士達は易経を熟知していたのである。
 古事記に当て嵌めれば、風地観☴☷は水地比☵☷である建(たけ)速(はや)須(す)佐(さ)之(の)男(お)の命(みこと)の六代目の子孫・大国主(おおくにぬし)の神である。建(たけ)速(はや)須(す)佐(さ)之(の)男(お)の命(みこと)は八岐大蛇(やまたのおろち)を退治して出雲の国の農業基盤を築いたが、水地比の「後(おく)るる夫(ふ)は凶/和合できない人は駄目である」の性質によって出雲の国作りまでは至らなかった。そこで六代目の子孫・大国主(おおくにぬし)の神によって出雲の国作りは完成することになる。水地比の「後(おく)るる夫(ふ)は凶」の上爻が陰陽反転すると風地観となり、上爻に「君子なれば咎なし/君子ならば問題ない」とあるように、大国主(おおくにぬし)の神は君子(命の泉の神様)として下々から仰がれて、出雲の国を完成させたのである。

 以上が風地観の概要である。
 ここから先は原文(漢文と書き下し文)を示した上で、初心者でも理解できるように意訳していく。

觀、盥而不薦。有孚顒若。
○觀は盥(かん)して薦(すす)めず。孚(まこと)有り顒(ぎよう)若(じやく)たり。
 観には「周観(周く物を観る)」「仰観(手本を示す、仰ぎ観る)」の意味がある。上の者(上九・九五)が下の者(六四以下)を周(あまね)く観て手本を示すから、下の者(六四)は上の者を仰ぎ観るのである。
 宗(そう)廟(びよう)の祭(さい)祀(し)でお供え物を献(けん)上(じよう)する前に、祭主が手を洗い清めて神様の前に進み、至誠の心と厳(げん)粛(しゆく)な態度で神様を天から迎えるように、為政者(リーダー)が至誠の心と厳粛な態度を民(下々)に示せば、民(下々)は自然に為政者(リーダー)を尊(そん)崇(すう)して仰ぎ観るようになるのである。以下省略。