十二天(てん)地(ち)否(ひ) ☰ ☷
互卦 五三風(ふう)山(ざん)漸(ぜん) ☴☶
綜卦・錯卦 十一地(ち)天(てん)泰(たい) ☷☰
天地否☰☷は地天泰☷☰がひっくり返った形である。地天泰は六十四卦の中で最も安定した時だったが、ひっくり返った形の天地否は六十四卦の中で最も不安定な時、閉塞する時、逼迫する時である。天地否は物事の盛衰を表す陰陽消長卦において最も盛運の乾為天☰☰と最も衰運の坤為地☷☷の真ん中に位置している。 まさしく衰運のど真ん中に在るのが天地否である。上卦乾☰は上に向かって進み、下卦坤☷は下に向かって進む。陽と陰が正反対の方向に向かって進むので何事も交わらない。何事も成就しない。世の中には小人(悪しき人々)が蔓延(はびこ)って君子(善き人々)は身の置き場がない。そんな絶望的な状況が天地否の時である。あらゆる物事が閉塞・逼迫しているから活路を見出すことも出来ない。衰運の中で只管(ひたすら)忍耐するしかないのである。
このような絶望的な状況の中で一体どうすればよいのか。易経は「忍耐せよ」と教えている。忍耐力は人間の強さである。今こそ強い人間になってこの絶望的な状況を堪え忍び、次のステップに備えるのである。
陰陽消長卦の流れで見ると天地否☰☷の時が終われば、風地観☴☷の時となる。風地観の時は天地否の時よりもさらに厳しい状況となる。衰運の極み坤為地☷☷に向かってまっしぐらに落ちていく。けれども、天地否のような閉塞感や逼迫感はなくなる。天地否の時が終わればさらに厳しい環境に置かれるが、天地否の時には見えなかった将来の方向性が見えてくるので心の中には希望が湧いてくる。だから天地否の今は堪え忍ぶのである。以下省略。