初六 ―‥‥ ―‥‥ (艮為山) 之卦 二一山火賁
初六。艮其趾。无尤。利永貞。
○初六。其(その)趾(あし)に艮(とど)まる。尤(とが)无(な)し。永貞に利し。
初六は柔弱不中正(陰爻陽位でやる気が足りない)で六四の大臣(側近)とは応じない。天涯孤独(応比なし)の身である。止まる時の最初に居て、足が地面に釘付けとなり一歩も動くことができない。止まっているだけで動かないので、咎められるような過失は犯さない。私利私欲に惑わされてはならない。幾久しく正しい道(その止まる所に止まること)を固く守ることが肝要である。
象曰、艮其趾、未失正也。
○象に曰く、其(その)趾(あし)に艮(とど)まるとは、未(いま)だ正(せい)を失はざる也。
小象伝は次のように言っている。初六は足が地面に釘付けとなり一歩も動けない。消極的ではあるが、未だ正しい道(その止まる所に止まること)を失わないのである。
【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
〇何事も、どっしりと坐っていればよい時。妄りに人に頼ってはならない。自然にやって来たことは進んで対応すればよい。正しい道を固く守れば運氣が開ける時である。
○堅実さに若干の装飾を加える(勇気を礼儀で飾るような)時。
○動き出す前の準備で止まる時。正しさを継続せよとの戒めである。
○止まって動いてはならない時。もしあなたが小人(立派ではない凡庸な人物)だとしても止まっていれば正しい道から外れない。
○不適な悪者でも、木訥な人物に見える時。
○中庸に云う「其の位に素して行い、其の外(ほか)を願わず」、論語に云う「其の位を出(いで)ず」時。
○山に大小があるように、見識に高低がある時。
以下省略。次の書籍をご覧ください。