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易経(周易)を読み解く 二七(天水訟 全体)

六 天(てん)水(すい)訟(しよう) ―――乾天 ‥―‥坎水
互卦 四九澤火革  綜卦 五水天需  錯卦 三六地火明夷
訟、有孚窒。惕中吉、終凶。利見大人。不利渉大川。
○訟(しよう)は、孚(まこと)有りて窒(ふさ)がる。惕(おそ)れて中すれば吉、終れば凶。大(たい)人(じん)を見るに利し。大(たい)川(せん)を渉(わた)るに利しからず。
 訟は乾(剛健)と坎(険難)が反目して、一つの組織内(小は家庭、大は国家)で争い事や訴訟が起きる時である。下卦坎水には、誠の德が充実しているが、九二は坎水の穴の中に陥って閉(へい)塞(そく)している。戒(いまし)め懼(おそ)れて忍耐し、適切な時に訴訟を取り下げるが宜しい。
 組織内で起きる争い事や訴訟は勝つか負けるか終わるまで続けても解決しない。剛健中正の天子九五を争い事や訴訟を仲裁してくれる大人として仰ぎ、解決してもらうが宜しい。こういう時にはリスクの高い事に立ち向かって行ってはならない。

彖曰、訟上剛下険。険而健訟。訟有孚窒、惕中吉、剛來而得中也。終凶、訟不可成也。利見大人、尚中正也。不利渉大川、入于淵也。
○彖に曰く、訟(しよう)は上(うえ)剛(ごう)にして下(した)険(けん)なり。険にして健なるは訟なり。訟は孚(まこと)有りて窒(ふさ)がる、惕(おそ)れて中すれば吉とは、剛來(きた)りて中を得れば也。終れば凶とは、訟は成す可(べ)からざれば也。大人を見るに利しとは、中正を尚(たつと)ぶ也。大川を渉るに利しからずとは、淵(ふち)に入(い)る也。
 彖伝は次のように言っている。訟は上卦乾が剛健、下卦坎が険難である。内(下)は険難な性質で、外(上)は剛健な性質なので争い事や訴訟が起こるのである。
 戒(いまし)め懼(おそ)れて忍耐し、適切な時に訴訟を取り下げるが宜しい。剛健な九二が下卦に居て中庸の德を得ているからである。組織内で起こる争い事や訴訟は勝つか負けるか終わるまで続けても解決しない。組織内では争い事や訴訟を起こすべきでないからである。
 剛健中正の天子九五を争い事や訴訟を仲裁してくれる大人として仰ぎ、解決してもらうが宜しい。九五は中正の德を具えているので人々から尚(たつと)ばれているからである。
 こういう時にはリスクの高い事に立ち向かって行ってはならないのは、組織内で争い事や訴訟が起こっている時に、波風荒い大川を舟で渉れ(リスクの高い事に立ち向かって行け)ば顚(てん)覆(ぷく)して憂(ゆう)患(かん)の淵に沈むこと必至だからある。

象曰、天與水違行訟。君子以作事謀始。
○象に曰く、天と水と違(たが)い行くは訟なり。君子以て事を作(な)すに始めを謀(はか)る。
 大象伝は次のように言っている。上卦天は上り、下卦水は下るので、交わることなく行き違って、争い事や訴訟が起こるのが訟の時である。君子はこの卦象を見習って、訴訟の根本的な原因が物事を始める時の行き違いにあることに鑑(かんが)みて、本来であれば、物事を始める段階で、争い事や訴訟が起こらないように注意するべきなのである。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)この卦を得た時は、朋友の間に論争があっても、小さな事で争わないようにすべきである。考え方の違いや発する言葉が誤解されることが多い。よく自戒して慎みを忘れないようにすべきである。
○相手との間に感情の行き違いがあって争い事を起こす時。
○見込み違いで、戦いに敗れる時。
○社会的地位の高い人と気まずい関係になる時。
○理屈は正しいのに受け容れない(受け容れられない)時。
○訟の時は氣運がもっとも衰える時である。何事も慎んで自ら災害を招いてはならない。己の智恵や考えを過信して実行すれば、自分だけでなく周りの人も後悔させることになるであろう。
○外見(外卦乾)は強そうだが、内心(内卦坎)は苦労している時。
○讒(ざん)言(げん)によって、人との信頼関係を失う時。
○人を怨んで憤(いきどお)る時。
○人を嫉(ねた)んで憎む時。
○悪いことを企画する時。
○憂鬱となり悶々として煩(わずら)う時。
○温和になれない時。
○売買は、今、安く買って、後に高く売れる。