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六十四卦の概要 火地晋

2023年4月1日

三十五火地晋(かちしん) ☲ ☷

 火地晋は下卦坤☷の大地の上に上卦離☲の太陽が燦々と輝いている。誠に穏やかで、初冬の小春日和のように平和な時である。火地晋☲☷がひっくり返ると綜卦の地火明夷☷☲になる。大地の下に太陽が沈んで暗黒の世となる。太陽は天地宇宙や人間にとってなくてはならない存在である。易経の基本原理は太極の中に陰陽混在しているところから始まる。太陽は陽の象徴であり、大地は陰の象徴である。だから大地の上に太陽が在って大地を燦々と照らしているときは平和で何事も安定しており物事が成就する。けれども、太陽が大地の下に沈んで大地を照らさなくなれば平和は乱れて何事も不安定となり物事は成就しなくなる。
 六十四卦の中で最も不安定な時、閉塞する時、逼迫する時である天地否☰☷五爻の之卦(天地否五爻が陰陽反転した卦)である。天地否の五爻は悪の親玉である。世の中が閉塞逼迫する時の暗君である。この暗君が元凶となって世の中は不安定となる。
 天地否の暗君五爻が陰爻に変じて火地晋の名君となれば、暗黒の世は一転して天下泰平となる。であるからして、火地晋の時は誠に善い時だが、一つだけ欠点がある。五爻の側近の四爻が不心得者なのである。不心得者の四爻は下卦坤☷の臣下と五爻の名君の間を引き裂こうとしている。
 四爻を卦象で捉えると、三四五爻の互体坎☵の主爻である。坎には「紆余曲折、反目、悪人、盗賊、詐欺師」という性質がある。四爻は紆余曲折した人生を歩んできたので、何かと反目しやすく、放っておくと、悪人や盗賊や詐欺師になりかねない。
 また、二三四爻の互体艮☶の主爻でもある。艮には「孤立、孤独、傲慢、制止、休止」という性質がある。不心得者の側近四爻との関係が悪化すると、四爻は孤立して孤独となり、傲慢に振る舞うことになりかねない。四爻とは付かず離れずの関係を保ち、四爻が反目しないように制止、休止するのである。