八水地比 ☵ ☷
互卦 二三山地剝 ☶☷
綜卦 七地水師 ☷☵
錯卦 十四火天大有 ☲☰
天水訟☰☵(内部の争い)、地水師☷☵(外部との争い)と争いが続くと人々は疲れ切ってしまう。だから争いを止めて一つにまとまろうとする。一つにまとまるためには優れたリーダーが必要である。
水地比は一陽五陰の卦である。五陰は一陽に従う。一陽が優れているから五陰が従うのである。リーダーたる者、己の損得で動いてはならない。世のため人のために動くのがリーダーである。一陽が世のため人のために動くから五陰が従う。
地水師も一陽五陰の卦であったが一陽は二爻に位置していた。二爻は臣下の位だから、五爻に命じられてはじめて動ける。水地比の一陽は五爻である。だから自分の意思でみんなを一つにまとめることができる。
五爻はトップの位でありしかも一陽だから五陰が自ずと従う。天水訟、地水師という争いの時を乗り越えて、五爻を中心にみんながまとまるのが水地比の時である。五爻は優れたリーダーであり一陽五陰の主だから、余裕綽々で組織を収めることができる。だから組織は安泰となる。
けれども、こういう時に逆らう者もいる。みんなが一つになろうとする時に逆らおうとする。五爻は余裕綽々だからそういう者を相手にしない。みんなが一つになろうとする時に逆らおうとする者は救われないが、自業自得だから仕方がない。それが水地比の時の教えである。争いが続いた後はみんなが一つにまとまって仲良くすべきである。人間社会は仲良くするからみんな幸せになれる。仲良くできないことは哀しいことである。
五爻はみんなが仲良くする時のリーダーとしての自覚を持って己の仁德を磨き続けることが求められる。責任重大である。五爻を悪く言えば仁德ある独裁者である。仁德ある独裁者だから全体を善く治める事が出来る。仁德ない民主主義よりも仁德ある専制国家の方がよく治まり、みんな幸せになれるのである。
古事記に当て嵌めれば、伊(い)邪(ざ)那(な)岐(ぎ)の命(みこと)と伊(い)邪(ざ)那(な)美(み)の命(みこと)は国生みと神生みを終えたが、伊(い)邪(ざ)那(な)美(み)の命(みこと)が最後に火の迦(か)具(ぐ)土(つち)の神を生んだときに火傷をして亡くなってしまう。これまで陰の神様としての役割を果たしてきた伊(い)邪(ざ)那(な)美(み)の命(みこと)の後継者として伊(い)邪(ざ)那(な)岐(ぎ)の命(みこと)の鼻から生まれたのが建(たけ)速(はや)須(す)佐(さ)之(の)男(お)の命(みこと)である。陰の神様が女神から男神に替わったので五爻が陽となり、伊(い)邪(ざ)那(な)美(み)の命(みこと)の坤為地☷☷から建(たけ)速(はや)須(す)佐(さ)之(の)男(お)の命(みこと)の水地比☵☷へと進化した(陰が意志を持った)のである。以下省略。