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六十四卦の概要 山地剝

二十三山地剝 ☶ ☷

 山地剝は陰陽消長卦の大衰運の時。下限の坤為地☷☷の一歩手前に位置している。大盛運の乾為天☰☰から天風姤☰☴となって衰運に転じ「天山豚☰☶→天地否☰☷→風地観☴☷」と、墜ちてきて終に陽爻は一つだけになってしまった。だが、一陽五陰であるから一陽上九の五陰に対する影響力は弱くない。一陽を剝ぎ落とそうと束になって迫ってくる五陰の勢いを、上卦艮☶の山のようにどっしりと構えてくい止めている。
 陰陽消長卦では、「山地剝☶☷→坤為地☷☷→地雷復☷☳」と進んで行くが、下限の坤為地に至っても陰が消滅したわけではない。陰の裏側に隠れているのである。そして、坤為地の時が終われば一陽が表に現れ地雷復となって衰運は終わり、盛運に移行する。下卦坤☷を小人(陰)と見立て、上卦艮☶を君子(陽)と見立てると、山地剝は小人(陰)の立場の物語。君子(陽)の立場の物語は、綜卦の地雷復☷☳となる。
 小人(陰)の立場から見れば、君子(陽)を追い詰めているが、君子(陽)の立場から見れば、君子(陽)が復活して力を蓄え、これから小人(陰)を追い詰めていこうと準備しているのだ。
 そもそも小人(陰)は君子(陽)がいるから生きていけるのである。君子は人の上に立つことを前提に己を磨いている。やがて指導者として色々な組織を率いることになる。組織を率いる者は己の利益を優先してはならない。部下や社会のことを考えて行動する。だから、小人は指導者にはなれない。己の損得を優先するから指導者になってはならないのである。よって、君子を追い詰めて剝ぎ落としてしまえば指導者がいなくなる。指導者がいなくなれば組織は乱れる。結果として被害は小人に及ぶのである。以下省略