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四季と易経 その六十三

蟄虫坏戸(ちつちゆうとをとざす)(七十二候の四十七候・秋分の次候)

【新暦九月二十八日ころから十月二日ころまで】
 意味は「虫が隠れて土の穴をふさぐ(絵で楽しむ)」である。
 「絵で楽しむ」には次のように書いてある。
 虫が早くも冬ごもりの支度を始めるころ。春の「蟄虫啓戸(ちつちゆうとをひらく)」で姿を現した虫たちが、再び土の中へ戻っていく時季とされます。

 「蟄虫坏戸(ちつちゆうとをとざす)」は、易経・陰陽消長卦の「風地観」六二に中る。次に「風地観」六二の文章(爻辞と小象伝)を示す。
 「風地観」六二の言葉は【新暦九月二十八日ころから十月二日ころまで】に当て嵌まる。

風地観六二(易経・陰陽消長卦)

《爻辞》
六二。闚觀。利女貞。
○六二。闚(き)觀(かん)す。女(じよ)の貞(てい)に利(よろ)し。
 陰柔六二は至誠な心と厳粛な態度で民を教化する九五の天子(トップ)と遠く離れているので、門の間からそっと外をのぞき観ることしかできない。女(下卦坤)の道を固く守って素直に九五の天子(トップ)に順うが宜しい。

《小象伝》
象曰、闚觀。女貞、亦、亦可醜也。
○象に曰く、闚(き)觀(かん)す。女(じよ)の貞(てい)は、亦(また)、醜(は)ず可(べ)き也。
 小象伝は次のように言っている。素直に九五の天子(トップ)に順うが宜しいとはいえ、君子たる者、門の間から外をのぞき観ることしかできずに、ひたすら素直に順うだけでは実に恥ずかしい限りである。

 「風地観」六二の之卦は「風水渙」である。次に「風水渙」の全体像を表す言葉(卦辞・彖辞、彖伝、大象伝)と「風水渙」の九二の言葉(爻辞、小象伝)を示す。これらの言葉は「風地観」の六二と同じく【新暦九月二十八日ころから十月二日ころまで】に当て嵌まる。

風水渙(風地観六二の之卦)

《卦辞・彖辞》
渙、亨。王假有廟。利渉大川。利貞。
○渙(かん)は亨(とお)る。王、有(ゆう)廟(びよう)に假(いた)る。大(たい)川(せん)を渉(わた)るに利(よろ)し。貞(ただ)しきに利し。
 渙(かん)は物事や体制が離れ散る時。風(上卦巽)が吹き荒れて、水(下卦坎)が水面を離れ散る形をしている。一度は離れ散ってしまったものを集めて再び一つにまとめれば、終には物事がうまく進んで行くようになる。例えば何らかの困難に見舞われて何かが離れ散ってしまった時には、王様(組織のトップ)がお霊(たま)屋(や)にお参りして御先祖様(神仏)をお祭りすれば、御先祖様(神仏)も陰で応援してくれる。御先祖様(神仏)を大事にする王様(組織のトップ)の姿を見て、臣民(部下や国民)は王様(組織のトップ)を尊崇するようになり、組織を構成する人々の心は一つにまとまる。組織が一つにまとまれば大きな河を渡るような困難もみんなで乗り越えることができる。常に正しい道(組織を一つにまとめること)を固く守ることが肝要である。

《彖伝》
彖曰、渙亨、剛來而不窮。柔得位乎外而上同。王假有廟、王乃在中也。利渉大川、乘木有功也。
○彖に曰く、渙は亨るとは、剛來りて窮まらず。柔、位を外に得て上(じよう)同(どう)すればなり。王、有廟に假(いた)るとは、王乃ち中に在る也。大川を渉るに利しとは、木に乘りて功有る也。
 彖伝は次のように言っている。一度は離れ散ってしまったものを集めて再び一つにまとめれば、終には物事がうまく進んで行くようになる。剛健の賢臣九二が中庸の德を具えて常に正しい道を歩み、柔順な六四の大臣(側近)が正しい位を得て、剛健中正の九五の天子(トップ)をしっかりと補佐するからである。あるいは、渙の時を天地否(|||・・・)の変形(否の四爻と二爻が入れ替わった)と考えれば、否の閉塞逼迫した状況を突破するべく、陽の大臣(側近)が現場の中心で働く賢臣九二となり、現場の中心で働く陰の忠臣が王様(トップ)に仕える六四の大臣(側近)となって剛健中正の九五の天子(トップ)をしっかりと補佐するからである。
 王様(組織のトップ)がお霊(たま)屋(や)にお参りして御先祖様(神仏)をお祭りすれば、御先祖様(神仏)も陰で応援してくれる。御先祖様(神仏)を大事にする王様(組織のトップ)の姿を見て、臣民(部下や国民)は王様(組織のトップ)を尊崇するようになり、組織を構成する人々の心は一つにまとまる。王様(トップ)が正しく時に中(あた)る(組織を一つにまとめること)からである。
 組織が一つにまとまれば大きな河を渡るような困難もみんなで乗り越えることができる。しっかりした木の舟に乗って、大きな河を渡るように(上卦巽の木の舟と下卦坎水の大きな河の形をしている)、みんなで困難を乗り越えるのである。

《大象伝》
象曰、風行水上、渙。先王以享于帝立廟。
○象に曰く、風、水の上を行くは、渙なり。先王以て帝(てい)に享(きよう)し、廟(びよう)を立つ。
 大象伝は次のように言っている。風(巽)が水(坎)面を吹き荒れて水滴を散らす形が渙の形である。昔の王様(トップ)はこの形に見習って、神仏をお祭りするために神棚や仏壇を大切にして御先祖様を敬い、離散してしまった人々の心を一つにまとめるのである。

風水渙九二(風地観六二の之卦・爻辞)

《爻辞》
九二。渙奔其机。悔亡。
○九二。渙(かん)のとき其(その)机(き)に奔(はし)る。悔亡ぶ。
 九二は剛健にして中庸の德を具えている賢人だが、不正(陽爻陰位)不応(九五)で下卦坎の困難の真っ只中で、物事や体制が離散する時の困難は深まっている。賢臣九二は渙の困難を克服したいと強く思っている。そこで、自分を慕ってくれる部下初六の下に走り寄って、初六と共に安んじて時が至るの(九五の天子が発する大号令)を待てば、終には離散の困難を克服することができる。今は、離散の困難を克服することができないので、悔しい思いをするが、やがて九五が発する大号令により、離散の困難を克服するので、後悔することは一切なくなるのである。
象曰、渙奔其机、得願也。

《小象伝》
○象に曰く、渙のとき其(その)机(き)に奔(はし)るは、願(ねがい)を得(う)る也。
 小象伝は次のように言っている。自分を慕ってくれる部下初六の下に走り寄って、初六と共に安んじて時が至るのを待つ。渙の困難を克服したいと云う九二の大願が成就するのである。