二八 澤(たく)風(ふう)大(たい)過(か) ・|| ||・ ボロ屋でがんばる
庭(二八)のボロ屋「澤(たく)風(ふう)大(たい)過(か)」 互卦 一乾為天
※もろくなった母体を壊さないように慎重に活動する時。強引なやり方は駄目である。
フニャフニャの容れ物にズッシリとした中身が詰まっている。うっかり容れ物が壊れないように注意して慎重に行動すべきである。
枯れた柳に新芽が出れるように生き返る。何と絶妙な時であろうか。
巽順に謙り和悦する美德を以て倒壊の危機を救うために進み行く時である。
世は乱れて、正しい道は滅びようとしている。君子(人格者)は毅然と自立する。
才能がある人が集まっているが、ギクシャクして苦労する時である。
先頭多くして船山へ上(のぼ)る時。背中を合わせている象(かたち)である。あらゆることが背き合う。
心の中で夢は大きく膨らむが、行いは右往左往して定まらない。
組織や自分の中に隠れている種を見つけて伸ばしていくべき時である。
☆陽爻陰位の②と④と陰爻陽位の①を善しとして物語ができている。(公田連太郎)
〇才能ある人々が集まって、無事を維持することに苦労する。また、小(こ)金(がね)しかないのに、大(たい)金(きん)の物品を購入することを約束したが、お金を調達できず、手付け金を損する失策を犯しかねない時。軽はずみに動いてはならない。 ○分に過ぎたことを望む。
○全体を観ると、大洪水の起こりかねない時である。我も彼も大きな困難に遭遇する。
○背中を合わせている象(かたち)。あらゆる事が背き合う。 ○双方(両側)に破れて分かれる。
○心の中で夢が大きく膨らむが、行いは右往左往して定まらない時。
○心身ともに安定せずに、後悔することがある。
○柔らかいものを用いれば無事、強いものを用いれば大事に至る。
○張り裂けて、外に破れ出るという状況。
① 澤風大過初爻 ・||||・ 之卦澤天夬 ・|||||
あなたは容器が壊れそうな時に、只管(ひたすら)恐れ戒め慎んでいる。神仏を敬い柔順さを失わず、小さなことに心を配って用心すれば、災難を回避できる。
今は慎みの心を抱いて立派な人を尊敬し、真心で下から支える時である。
〇自分の心身は柔らかく、剛健の相手に立ち向かって行く。慎みと敬(うやま)いの心を忘れず巽順であるべきである。大事なことを思い立つ時。蟻の穴は堤を破壊する力がある。必ず小さな事に心を配って過ちの無いように用心すべきである。人は謀(はかりごと)を好むが、成功するかどうかは天のみが知る。大事を成そうとする人は、必ず天地・神仏をお祭りして、そのご加護を得るべきである。 ○両(もろ)刃(は)の剣の形。血を見る象(かたち)もある。
○謙譲の心と畏れ慎む心を常に抱けば、問題は降りかかってこない。
② 澤風大過二爻 ・||||・ 之卦澤山咸 ・|||・・
老いた男②が若い妻①を娶(めと)れば精気も回復して子どもが生まれる。悪かろうはずがない。
陽爻陰位で年上のあなた(会社なら上司)が、陰爻陽位で年下の人(あなたが男なら若い女・女なら若い男・会社なら部下)の力を借りて(男女なら結婚して)、何か(男女なら子ども・会社なら新事業)が生まれる時である。悪かろうはずがない。
自分の陽剛の力で陰柔の相手を(年上が年下を)助ける時である。
〇剛の性質を有して柔の性質を有する①と比している。自分が有する剛の性質で相手の性質を補う時である。勢い盛んな者が衰えている者を助け、人間関係を良好にする。良好な社会となって誠に宜しい時である。大きな心配事があって一度は衰退したことでも、年下の良き友を得て再び運氣を挽回する。若い女を(嫁として)家に入れる時である。
○老いた男でも、妻を向かえれば、子供ができるかもしれない。
○老いた男が若い妻を娶り、美しさに溺れて健康を害する。慎むべきである。
○老いた人を若い人が助ける時である。
③ 澤風大過三爻 ・||||・ 之卦澤水困 ・||・|・
容器(枠組み)が壊れそうな時なのに強引過ぎる。容れ物が壊れそうになる。危ない。
無理をしないで慎むべきである。私利私欲を捨てることが大事である。
〇剛強な性質で天下の豪傑と自負し、諫言や忠告を受け入れない。独自の判断で大事業に取り組むが、精力が尽き果てて、名声や資産を失う。私利私欲から離れて、智恵を過信せず、世の中から隠遁すれば、人災を免れることができる。
○社会的に役に立つ地位に在り、何事にも剛(つよ)い気持ちで立ち向かう。君子と対決して、自ら人災を招く。 ○無理して志を実現しようとすれば、大きな困難に陥る。困難に立ち向かう責任に耐えられず、家を滅ぼすなどの人災を招く。
○心が迷って心身とも苦しむ。思慮によって進むべき方向を誤る。
④ 澤風大過四爻 ・||||・ 之卦水風井 ・|・||・
部下①と協力して壊れそうな容れ物を支える。部下①を疑ってはならぬ。
あなたは陽爻陰位で勇気と人徳を具えた上司である。陰爻陽位の部下①はあなたを支えてくれる部下である。滅私奉公の精神で言行一致に努め、大義を掲げて部下①の協力を得れば、大事業を成し遂げられる。小利に目が眩(くら)めば、無残な結果となって名を汚す。
〇英邁で仁德のある人物。抜擢されて盛運を招く。小人に親しむことなく、言行一致に務め、大義を守って、天下の公益を図るべきである。大きな事を実現する。小利に目が眩(くら)めば無残な結果となって、名前を汚すことになる。慎むべきである。
○耐え難い艱難辛苦を乗り越えれば、何をやっても成就する。
⑤ 澤風大過五爻 ・||||・ 之卦雷風恒 ・・|||・
トップ⑤が相談役⑥と親しみ、枯れた柳にあだ花が咲く。陽爻陽位で陽に過ぎる経営者が陰爻陰位で陰に過ぎる相談役と世間話に浮かれているようで何の生産性もない(枯れた柳にあだ花が咲く)。誉められた話ではない。
あなたは年上の人(⑥あなたが男なら老いた女)に魅惑されて親しみ、枯れた柳にあだ花が咲く。誰にも褒められない。恥ずかしいことである。陽爻陽位で陽に過ぎる自分よりも優れた人(陽爻陰位で程よい陽の賢人④)と付き合うべきである。
〇賢人を蔑(ないがし)ろにして、愚人に親しむ。大事なことを計画する時に、佞人に頼る。盛運が衰運に転換するのも時間の問題。小さな事を行なっても何か問題が起こるわけではないが、誉められるような話にはならない。常に自分よりも優れた人を友とするように心がけ、自分よりも劣った人を友としないように注意すべきである。
⑥ 澤風大過上爻 ・||||・ 之卦天風姤 |||||・
あなたは相談役として壊れそうな容れ物を支えようと志すが失敗する。咎められない。
自分の力を過信して困難に立ち向かって行こうとするが、才能がないので自滅する。
従容として正しいことを守り進んで事を為さないことである。
〇自分の力を過信し、危険を冒して身体を損なう時。幸せを求めても得ることはできない。逆に人災を招きかねない。それゆえ、災難を免れるためには、従容として、正しいことを実直に守り、進んで事をなさないことである。それしか、対処法はない。
○生きる気力を失って、気持ちが萎えていく中で、強がって、何かを成し遂げようとすれば、心身ともに苦しむことになる。過ぎたるは及ばずに劣れり、何事も盛んに過ぎるのは凶運を招く原因となる。 ○何をやっても自滅する時。
○自分が好きなこと、好きなものに誘惑されて、禍の中に陥る。自ら招いた禍である。周りの人を咎めてはならない。
○大洪水に立ち向かってはならない。強引に立ち向かおうとすれば、「頂(いただき)を滅(めつ)する」こと必然である。 ○危険に陥る時。才能がないので、危険を回避することはできない。