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7.地水師 期間限定 超入門 コインを用いた易経・易占い

2022年9月22日

七 地(ち)水(すい)師(し) ・・・ ・|・ 戦には勝て
 なな(七)戦連勝「地(ち)水(すい)師(し)」 互卦 二四地雷復
※大義を掲げて戦う時である。現場を指揮する大将(リーダー)が適任者なら勝てるが、不適任者なら大敗する。トップは大将としての適任者を部下の中から抜擢任用する。
 組織(会社・団体・国家等)と組織が戦う時である。
 大義(正当かつ明確な目的)を掲げて戦うことが求められる。
 大将としての適任者とは、強さ(決断力)と優しさ(信用力)を兼ね備えた人、包容力と寛大な心を具えた人、知恵と権威を有する人である(②のことである)。
 不適任者とは本当は力がないのに力があると自己過信している人③である。
 ⑤が適任者②を大将に抜擢すれば勝つ。不適任者③を抜擢すれば組織を滅ぼす。
 適任者②が不在の場合、④を抜擢すれば負けても被害は少ない。
〇この卦が出たら、危険に遭遇して、数多くの困難が立ち塞がる。力づくや誤魔化しで困難から脱しようと悪智恵を企てれば、ますます困難に陥る。正しい道を固く守って、正々堂々と王道を歩めば、困難を脱して志を実現することができる。
○学校の先生が庶民の子どもを沢山集める時。あるいは、演説や集会、議会などで沢山の人を集める時である。 ○先生が発憤して大衆を動かす時。
○大きなリスクが潜んでいる時。 ○願望はすぐに実現しない。先ずは厳しい状況に陥る。やがて願望を実現することが容易になる。 ○心配事を解消するために、あえて苦難の道に挑戦する。成功か失敗かは、その人の人生経験や才覚で決まる。
○心身ともに苦労して、生活もままならなくなるが、安易に今の職業や思想(考え方)を変えてはならない。 ○商売では競争が激しくなる。

① 地水師初爻 ・・・・|・ 之卦地澤臨 ・・・・||
 戦う前の準備段階である。現場の規律を厳しくして、部下をきちんと躾ける時。
 小さな事を積み上げること(積小為大)が求められる。
 見通しを持って事を始めることが大切である。
〇事を為すには、事の始めをきちんとすべきである。
 調査をして、予測を立て、確乎とした見通しを持ってから始めるべきである。事を始めるにあたっては、規則をきちんと定めることが肝要である。以上を怠れば、必ず失敗する。
○何事も、始めの段階は慎重に行い、過大な期待を抱くことなく、小さな事から始めれは、吉運を招き寄せる。

② 地水師二爻 ・・・・|・ 之卦坤為地 ・・・・・・
 強さと優しさを兼ね備えた人物。トップ⑤に抜擢されれば戦いに勝てる。
 強さ(決断力)と優しさ(信用力)を兼ね備えた人、包容力と寛大な心を具えた人、知恵と権威を有する人である。
 時の指導者⑤(トップ)に大将(リーダー)として抜擢されれば戦いを勝利に導く。
〇志を抱き(心を正しい方向に向けて物事に臨み)、力を尽くして事に中れば、大きな功績を成し遂げられる時である。 ○勇気を奮って大事業を起こせば、吉運を招き寄せる。
○大勢の人々を統率して、事業を運用する象(かたち)である。
○終に志を実現して、誰にも負けない氣(エネルギー)に溢れている。
○功績を成し遂げて帰郷する(故郷に錦を飾る)時である。

③ 地水師三爻 ・・・・|・ 之卦地風升 ・・・||・
 あなたは力がないのに、自分には力があると過信している。
 あなたが大将(リーダー)に抜擢されれば組織は滅亡する。
 以上のことから、己の分を知り戒め改心して修養することが求められる。
〇志は剛毅だが才能が不足している。何度も反復して、よく考え、妄りに進もうとしないことが肝要である。他人の扇動に乗り、自分の才能を過信して事を為そうとすれば大失敗する。進まず退いて時を待つが宜しい。 ○分不相応なことをしてしまう時。
○蒙昧ゆえ、してはならないことをしないように、自戒すべきである。
○自分の器量を過大評価して、他人を侮(あなど)ってしまう時である。

④ 地水師四爻 ・・・・|・ 之卦雷水解 ・・|・|・
 あなたは、大将(リーダー)の器でないと自覚している。
 あなたは、勝ち目のない戦いから撤退するので被害は少ない。
 他に大将の人材がいなくて、あなたが大将に抜擢された時は、進んで大敗するよりは、退いて被害を少なく抑えるように心がける。
〇進んで事を為す時ではない。退いて氣力を養い、時が到来するのを待って動くべき。
 この時にリーダー(大将)の地位を得たら、衆人の利害を守るために努力すべきである。

⑤ 地水師五爻 ・・・・|・ 之卦坎為水 ・|・・|・
 トップのあなたが②を大将に抜擢すれば戦いに勝てる。③を抜擢すれば組織を滅ぼす。
 適任者である②が不在の場合は、無鉄砲な③を抜擢するのではなく、何事にも慎重な④を抜擢して被害を抑えるべきである。
〇損害の賠償や名誉回復を図るのに適当な時。誰に委託するのかが肝要である。
○王(トップ)が大将(リーダー)に命令して、戦争(事業)を全面的に任す時である。
○王(トップ)に委託された大将(リーダー)がその器でない時は、その大将(リーダー)が人間失格の烙印を押される恐れがある。

⑥ 地水師上爻 ・・・・|・ 之卦山水蒙 |・・・|・
 戦いが終わった後の人事について、戦いに貢献した君子(立派な人)には地位を、小人(凡庸な人)にはお金を与えよう。小人を優遇したり地位を与えてはならない。
〇この爻が出たら、ある事を委託する際に人物を得て、事を成し遂げた時である。
 戒めと慎みの心を失えば、成果はあっという間に失われる。細心の注意で警戒しなければならない。大きな志を実現した時だから、その後のあり方が肝要である。
 論功行賞に依(え)怙(こ)贔(ひい)屓(き)があってはならない。忠実で正直な人材には、それに応じた処遇を与える事で、良き国風を育むべきである。
 表面だけ忠正を装っている小人に良き処遇をすれば、その後、害悪を招く。
○論功行賞を与える時。小人には高い地位を与えてはならない。業績に応じた俸禄を与えるに止めるべきである。
☆易経の六十四卦の中で、「地水師」「水地比」「天火同人」「火天大有」「澤雷随」「山風蠱」「風山漸」「雷澤帰妹」の八卦を、帰(き)魂(こん)の卦とする。占って、この八卦が出た時は、その上爻に至ると命が尽きると考える。帰魂の卦とは、五爻の陰陽が変じると八純(上卦と下卦が同じ八卦)の卦となる卦で、繋辞上伝に「始めを原(たず)ね終わりに反(かえ)る。故に死生の説を知る」と云っている。すなわち、帰魂の卦によって、人生の終わりを知るのである。(以上、高島嘉右衛門著高島易断から要約して現代語訳した。)