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易経(周易)を読み解く 二一(水雷屯 五・上)

九五 ‥―‥ ‥‥― 之卦 二四地雷復
九五。屯其膏。小貞吉。大貞凶。
○九五。其の膏(めぐみ)を屯(とどこお)らす。小は貞にして吉。大は貞にして凶。
 九五は屯難(産みの苦しみ)の時の天子(リーダー)。側近六四も従臣六二も、陰柔なので頼りにならない。それゆえ、天子(リーダー)としての恩沢を民に施すことができない。(最下の地位に居る卑しい人物は抜擢任用しないと云う)既成概念に固執しなければ、将来を切り開くことができる。固執すれば行き詰まる。
象曰、屯其膏、施未光也。
○象に曰く、其の膏(めぐみ)を屯(とどこお)らすとは、施(ほどこ)すこと未(いま)だ光(おおい)ならざる也。
 小象伝は次のように言っている。天子としての恩沢を民に施すことができないのは、今はどうがんばっても屯難を解決できないのである。すなわち、未だ屯難が解ける時に至らないからである。(屯難は慈雨が降ってくる雷水解の象になった時に解決するのである。)

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)この爻を得たら、知識豊富で、見識高く、才能及び度量が大きな人物でも、無闇に事業を立ち上げたりせず(事を起こしたりせず)、慎む心を大切にし、地道なことを積み上げて、時運が到来するのを待つべきである。
トップリーダー(君主・大統領・総理大臣)の場合は、国家(組織)の歩みが危険になる時、部下(臣下)の場合は、志が実現しない時、商人の場合は、貿易が不振な時、農家の場合は、農産物が不作の時である。謙譲・謙遜の德を守り、進むよりも退くことを考え、謹慎すべきである。また、財産や家族が多いが、財政状態が困窮して、何事も思ったようにならない。万事、節制や節約の心で対処すべきである。
日常的なことや常識的なことを行なうのは問題ないが、大事業を企画・実行するのは不可能である。
○剛健にして明智を具えた君主。乱を治める端緒を開き、正しき世の中に戻すきっかけを創る。直ぐに成果は現れないが、その功績はなかなかのものである。
○君主は存在するが、臣下が不在だから、恩徳を臣民に施そうとしても叶わない。
○比する六四と応ずる六二は、九五の君主の威德を畏れており、しかも、陰爻だから弱いので、九五は(上卦坎の)坎難に陥って威德が陰っている。

上六 ‥―‥ ‥‥― 之卦 四二風雷益
上六。乗馬班如。泣血漣如。
○上六。馬に乗りて班如たり。泣血(きゆうけつ)漣如たり。
 上六は屯難の窮みに居て、本来応じるべき九三とは陰柔同士で応じていない。馬に乗って出かけても落馬して引き返すことになる。嘆き悲しみ血の涙を流すしかない。
象曰、泣血漣如、何可長也
○象に曰く、泣血漣如たり、何ぞ長かる可けん也(や)。
 小象伝は次のように言っている。今、上六は嘆き悲しみ血の涙を流すしかないが、屯難の時は終わろうとしているのだ。いつまでも嘆き悲しんでいられようか。(もうすぐ、慈雨が降ってくる雷水解の象になって、産みの苦しみは解決する…。)

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)今や困難は極みに達し、進退に窮する時だが、屯難の苦しみは、ピークを越え、福運に向かおうとしている。
今は屯難の時でも、再び世に出ることを楽しみとして、心配する気持ちを抑え、自らを慰め、自暴自棄になってはならない。
例え福運が招来し、安定した地位を得ても、屯難の時が終ったわけではないことを忘れてはならない。昔の歌に「昔犯した過ちは、なかったことにはならない」とある。屯難の時は、よくよく心すべきである。
○破滅し、敗北して、事を成し遂げることはできない。
○気持ちが沈み、煩悶して苦しむ時。